三井化学の子会社である作新工業の主力製品、超高分子量ポリエチレン成形品「ニューライト」
「ニューライト」が、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台が参画する国際プロジェクトである「アルマ望遠鏡」の受信機のレンズ素材として採用されました。
作新工業 超高分子量ポリエチレン成形品「ニューライト」
「アルマ望遠鏡」は、日本の国立天文台、米国国立電波天文台、欧州南天天文台を中心とする22の国と地域が協力し運用されています。
南米チリの標高約5,000mの高原に設置された直径12mのアンテナ54台、直径7mのアンテナ12台からなる世界最大級の電波望遠鏡です。
アルマ望遠鏡は、2013年から本格運用が開始され、これまで惑星の誕生の現場や、生命の起源にも関連する多様な有機分子の存在などを観測してきました。
アルマ望遠鏡は、35~950GHzの周波数(0.3~8.6mmの波長領域)を10帯域に分離して観測をしています。
今回、三井化学の子会社である作新工業の主力製品「ニューライト(R)」「アルマ望遠鏡」の受信機のレンズ素材として採用されました。
「ニューライト」が採用されたのは、新型「バンド2」受信機(観測周波数 67~116GHz:2.6~4.5mmの波長領域)の光学系に使用するレンズです。
電波望遠鏡のレンズは天体からの微弱な高周波電波をできるだけ低損失で通すことが求められるほか、66台のアンテナでの光学性能を維持するための均一な材料物性、加えて約5,000mの高地で運用されるため耐紫外線特性が求められます。
「ニューライト(R)」は、樹脂としてはトップクラスで高周波の電波を通す素材です。
作新工業はこの特性を活かし、耐紫外線性を更に高めたニューライトを提供することで国立天文台のアルマ望遠鏡プロジェクトに協力しました。
国立天文台 金子 慶子氏 コメント
装置開発において、要求を満たす素材の選定は重要で大変な項目のひとつです。
今回、作新工業様の協力を得て様々な条件での物性評価をおこない、ニューライトが低損失、安定した誘電率、強い紫外線環境下に耐えうることを確認できました。
今後このレンズを含む受信機での観測結果が楽しみです。
ヨーロッパ南天天文台 Pavel Yagoubov氏 コメント
この超高分子量ポリエチレン材料をアルマプロジェクトに使用することを非常に楽しみにしている。
アルマバンド2受信機の真空レンズの材料選択は非常に重要です。
真空レンズは必要な電磁気的特性と低損失を有すると同時に、アルマサイトの過酷な低湿度と高い紫外線レベルに耐えることが必要です。
三井化学グループは、長期経営計画「VISION 2030」に基づき、ユニークなICTソリューション事業を創造・拡大し、基本戦略である事業ポートフォリオ変革における第3の柱へ成長させることを目指しています。
ICTソリューション事業戦略においては、「半導体・実装ソリューション」、「イメージングソリューション」、「電池材料ソリューション」、「コンバーティングソリューション」の四つの事業領域を設定してそれぞれ強化を図っています。
今回の採用を通じて、更なる高周波対応等の技術開発の進化・深化にも貢献します。
国際プロジェクト「アルマ望遠鏡」と、受信機のレンズ素材として採用された「ニューライト」の紹介でした。