リスクモンスターは、第1回「対話型AI(ChatGPT)の使用実態」調査結果を発表しました。
リスクモンスター第1回「対話型AI(ChatGPT)の使用実態」調査結果
・調査名称 :第1回「対話型AI(ChatGPT)の使用実態」調査
・調査方法 :インターネット調査
・調査エリア:全国
・期間 :2023年5月23日(火)~5月24日(水)
・調査対象者:20歳から69歳の男女個人1,000名
・有効回収数:1,000サンプル
2022年11月頃から、OpenAI社の対話型AI「ChatGPT」が注目を浴び始め、自治体や大手企業でChatGPTの業務活用が進んでいます。
今回の調査では、ビジネスパーソンの約7割に認知されているものの、実際にChatGPTを使用している人は15%程度に留まっていることがわかりました。
ChatGPTの使用が進んでいる層としては、「男性」、「30代・40代」、「ベンチャー企業・大企業勤務者」、「管理職」となっており、新しいツールに敏感なベンチャー企業勤務者、仕事量が多く業務効率化ニーズの高い30代・40代の管理職において、ChatGPTを積極的に使用している様子がうかがえます。
ChatGPTを業務上で「うまく活用できている」用途としては、「顧客からの問合せ対応」や「システム構築・プログラミング」、「Webサイトの制作」が挙げられています。
また、既に業務上でChatGPTを使用している人の半数以上が作業効率の向上を感じており、継続して使用したいと考える人は約9割となっています。
ChatGPTが業務や作業の効率化に寄与するツールであることは明らかと言えるでしょう。
ChatGPTをはじめとした生成AIツールの活用は、企業における今後の労働力確保の課題に対して、有効な解決策の一つとなり得ます。
それぞれの得意分野を理解し、使用シーンの模索や活用検討に向けた積極的な取り組みが必要ではないでしょうか。
調査結果
ビジネスパーソンを対象にChatGPTの認知度を調査したところ、ChatGPTの認知度は65.5%となり、3人に2人は「ChatGPTを知っている」ことが明らかとなりました。
認知度の内訳は、「使用している(以下、使用中)」(回答率14.9%)、「今は未使用だが、今後は使用予定(以下、使用予定)」(同15.9%)、「今後も使用予定なし」(同34.7%)となっています。
ChatGPTの使用状況をセグメント別に集計したところ、男女別における「使用中」の割合は、「男性」(同17.8%)の方が「女性」(同12.0%)よりも5.8ポイント高く、「ChatGPTを知らない」は、「女性」(同41.4%)の方が「男性」(同27.6%)よりも13.8ポイント高いことから、男性の方がChatGPTの認知や使用が進んでいる様子が表れています。
世代別にみると、30代以上のChatGPTの認知度が約70%であるのに対して、20代の認知度は約45%と低くなっています。
「30代」と「40代」では「使用中」が高いのに対して、「50代」、「60代」では「使用予定」が高い傾向があることから、30代、40代は新しいツールを使用する感度が他の世代に比べて高く、50代、60代では後輩世代の使用状況をみてから、自身の使用を考えている様子がうかがえます。
勤務先別では、ベンチャー企業や大企業において、積極的な使用がうかがえます。
特にベンチャー企業では、「使用中」(同33.3%)の割合が最も高く、「使用予定」(同29.2%)を含めると、6割以上が使用に前向きであることがわかります。
役職別では、管理職で「使用中」(同33.1%)の割合が最も高いのに対して、一般社員においては、「ChatGPTを知らない」(同41.2%)が4割を超えており、役職が高いほど認知度や使用状況が高い傾向が表れています。
(2)ChatGPTの用途を教えてください。
ChatGPTの使用者に対して、その用途を調査したところ、1位「文章の生成、添削、校正、要約」(回答率34.9%)、2位「情報収集」、「アイデア出し」(各同33.6%)となりました。
また、活用状況を、「業務上で活用できており、今後も使用予定(以下、活用できている)」、「業務上ではうまく活用できていないが、今後も使用予定(以下、活用できていない)」、「業務上でうまく活用できておらず、今後は使用しない予定(以下、今後は使用しない)」、「プライベートで使用」に分類したところ、4人に1人は「活用できている」(同24.2%)ことがわかりました。
業務上で「活用できている」用途としては、「顧客からの問合せ対応」、「システム構築・プログラミング」、「Webサイトの制作」の回答率が高い一方で、「情報収集」や「アイデア出し」は、「プライベートで使用」している割合が高くなっており、用途によって活用状況に差がうかがえます。
(3)ChatGPTによる自身の業務への影響や、今後の使用方針を教えてください。
ChatGPTを業務上で使用している人に対して、ChatGPTが自身の業務に与える影響を調査したところ、「作業効率が向上する」(回答率56.1%)が最も多く、「高度な作業が行える」(同34.1%)、「非効率な作業が増える」(同26.8%)と続き、「担当業務が奪われる」(同15.9%)の順となりました。
上位の項目になるほど、「活用できている」人による回答率が高くなっており、全体順位に対しても「活用できている」人の意見が反映されている様子がうかがえます。
(1)にて「使用中」または「使用予定」と回答した全体の約3割の人に、今後の使用方針を聞いたところ、「必要に応じて使用したい」(回答率78.0%)が約8割を占めており、「積極的に使用したい」(同16.7%)と合わせると約95%がChatGPTの使用に前向きであることがわかりました。
また、既にChatGPTの使用実績がある「使用中」のみに限定して見れば、使用継続に否定的な意見は約1割となっており、ChatGPTの利用効果を感じている人が多い様子が表れています。
総評
2022年11月頃から、対話型AIのChatGPTが注目を浴び始め、自治体や大手企業でChatGPTの業務活用が進む中、ビジネスパーソンを対象にリスクモンスターが独自にChatGPTの使用状況の実態調査(2023年5月23日~5月25日実施)を行ったところ、1,000人から回答が得られました。
今回の調査によって、ビジネスパーソンの約7割が「ChatGPTを知っている」ことがわかりましたが、実際にChatGPTを使用している人は15%程度に留まっています。
ChatGPTの使用が進んでいる層としては、「男性」、「30代・40代」、「ベンチャー企業・大企業勤務者」、「管理職」となっており、新しいツールに敏感なベンチャー企業勤務者、仕事量が多く業務効率化ニーズの高い30代・40代の管理職において、ChatGPTを積極的に使用している様子がうかがえます。
一方で、「女性」、「20代」、「中小企業勤務者」、「一般社員」の層においては、ChatGPTの認知度が低い傾向がみられました。
ChatGPTの使用シーンは、業務上での作業効率化や品質やサービスの向上を目的としたものから、個人がプライベートで手軽に使用するケースなど様々です。
ChatGPTが用いられる機会としては、「文章生成、添削、校正、要約」、「情報収集」、「アイデア出し」の場面で多く用いられている様子がありますが、「うまく活用できている」という回答が多い用途としては、「顧客からの問合せ対応」や「システム構築・プログラミング」、「Webサイトの制作」が挙げられ、これらの業務においては、ChatGPTの利便性を高く感じられているようです。
現状では、ChatGPTの利用者は、新しいツールに敏感な層や、業務での推進力を得たい層が中心であり、その利用が広く普及しているとは言えませんが、既に業務上でChatGPTを使用している人の半数以上は、作業効率の向上を感じており、何らかの形でChatGPTを使用した経験がある人の約9割が、今後もChatGPTの使用を継続したいと考えていることから、ChatGPTが業務や作業の効率化に寄与するツールであることは明らかと言えるでしょう。
とはいえ、現時点では、ChatGPTをはじめとした生成AIツールは、全てにおいて万能という訳ではありません。
活用に当たっては、それらの生成AIツールの得意分野を把握し、どのような業務や作業に、どのような方法で用いるのかを考えることが重要です。
企業としては、今後の労働力確保の課題に対して、有効な解決策の一つとなり得ることから、活用検討に向けた積極的な取り組みが必要ではないでしょうか。
※ 本編は以下掲載サイトでもご覧いただけます。
https://www.riskmonster.co.jp/study/research/