“文化財を1000年先、2000年先の未来に伝えるために、すべての人びとが、考え、参加する社会をつくる”というミッションを掲げて2018年に発足した「文化財活用センター」は、2023年で5周年を迎えました。
また、2023年7月1日より大美慶昌さんが新センター長に就任。
今回は、「文化財活用センター」が行ってきた5年の軌跡とこれからの取り組みについて紹介していきます。
国立文化財機構 文化財活用センター
“文化財を1000年先、2000年先の未来に伝えるために、すべての人びとが、考え、参加する社会をつくる”というミッションを掲げて2018年に発足した「文化財活用センター」は、2023年で5周年を迎えました。
また、2023年7月1日より大美慶昌さんが新センター長に就任しました。
2023年度の主な事業としては、文化財に親しむためのコンテンツ開発・展開や、国立博物館収蔵品の貸与促進などが行われます。
今回は2018年から2022年までの5年の活動紹介と、2023年度の事業や、6周年を迎えるにあたっての「国立文化財機構 文化財活用センター」について紹介します。
新センター長 大美慶昌 メッセージ
現代社会では、国籍、文化的背景、年齢、性別を問わず、あらゆる文化財にあらゆる人が共通にアクセスし、親しむことのできる機会や場の創出が世界的に求められています。
〈ぶんかつ〉は、文化財活用のナショナルセンターとして、これまでの実績を生かしつつ、さらに広い層のニーズに応えるべく、より包摂的な事業を展開していきたいと考えています。
現在は、企画、貸与促進、保存、デジタル資源、総務の5つの分野で、多岐にわたる活動を行なっています。
一歩一歩、活動の幅を広げながら、地域のミュージアムや、さまざまな企業・団体との連携を進めています。
今後も多くの方々に、一層魅力的なかたちで文化財を楽しんでいただけるよう、さらなる努力を続けてまいります。
プロフィール
日本放送協会(NHK)視聴者総局事業センター長、同松山拠点放送局長等を歴任し、多くの展覧会等の事業に携わる。
株式会社NHKプロモーション代表取締役社長を経て、令和5年7月1日より独立行政法人国立文化財機構 文化財活用センター長に就任。
5年間の実績 文化財と人とをつなぐ取り組み
2018年から2022年までの文化財と人とをつなぐ取り組みについて紹介します。
文化財に親しむためのコンテンツ開発・展開
・文化財に親しむための体験型展示:25件 来場者数 732,690人 ※入場者数をカウントした展示20件の総計
・複製、デジタルコンテンツ、教育プログラム等の制作:95件
・学校等への教育プログラム提供:60件 参加者数 6,963人
・複製、デジタルコンテンツの貸出:36件
・企業との共同プロジェクト推進:6件
国立博物館収蔵品の活用促進
・国立博物館収蔵品貸与促進事業:貸与件数 450件(19都府県 27施設) 来場者数 229,136人
※輸送費・保険料・貸与品の展示及び撤収作業費等を〈ぶんかつ〉が支出
文化財の保存に関する相談窓口・人材育成
・文化財の保存環境に関する相談対応・調査協力:805件
・研修・講習会:11回 参加者数 252人
文化財情報データベースの整備
- アクセス件数
・ColBase 国立博物館所蔵品統合検索システム:588,444件
・e国宝 国立博物館所蔵 国宝・重要文化財:10,845,022件 - ColBaseのデータ拡充
・画像追加:22,466件
・多言語ページ追加(英・中・韓):11,916件
文化財の保存・活用のためのファンドレイジング
・プロジェクト型ファンドレイジング:3件 総額38,377,915円
・国立文化財機構 寄附ポータルサイトからの寄附金:累計16,789,000円
6年目を迎えるいま、文化財活用センターが目指すこと
だれもが文化財へアクセスできるしくみづくり
多様な社会のすべての人が文化財に親しむことができるよう、地域、年齢、言語、障がいの有無などにかかわらず利用できるコンテンツがつくられます。
さらに文化財情報データベース(ColBase、e国宝)の整備を進め、これらの活用方法について積極的に発信。
ColBaseの活用例として『あつまれ どうぶつの森』に「ぶんかつ島」夢番地を公開しています。
地域のミュージアムとの連携を強化
国立博物館収蔵品貸与促進事業を通じて地域の活性化が図られます。
全国の保存担当学芸員等を対象に、参加者の学びの段階に応じた研修を実施。
人材育成に貢献されます。
社会とのコミュニケーションを通じて、文化財をもっと身近に
市民参加型のファンドレイジングや企業との共同プロジェクトなど、さまざまな社会の担い手とともに文化財を守り伝えるための取り組みを推進。
文化財と人びとを結ぶ新たな支援の枠組みを考え、ミュージアムにおけるファンドレイジングの活性化に寄与されます。
2023年度の主な事業予定
デジタルコンテンツ「8Kで文化財 ふれる・まわせる名茶碗」
開催期間:2023年7月11日~9月3日
九州国立博物館にて、特別展「憧れの東洋陶磁 ― 大阪市立東洋陶磁美術館の至宝」を会場内で公開。
まるで名茶碗を手に取って眺めているかのような鑑賞体験ができます。
※文化庁「令和3年度地域ゆかりの文化資産地方展開促進事業(先端技術を活用した文化資産コンテンツ制作プロジェクト)」により制作
「よみがえった古代のボードゲーム『かりうち』で遊ぼう!」アウトリーチプログラム開始
奈良文化財研究所と共同で開発し、2023年度から学校等への配布を開始。
2023年7月末までに70機関を受付しました。
国立博物館収蔵品貸与促進事業
国立博物館収蔵品貸与促進事業を7施設で実施。
2023年10月6日~11月26日の期間で、広島県立歴史民俗資料館「三次鵜飼と日本の鵜飼」ほか。
貸与作品の充実を図るための文化財修理
2022~2023年度にかけて、考古資料3件の修理を実施。
令和5年度「博物館・美術館等保存担当学芸員研修(基礎コース)」
研修等による人材育成として「博物館・美術館等保存担当学芸員研修(基礎コース)」を実施。
夏季・冬季の2回で実施されます。
※夏季:2023年7月31日~8月4日、冬季:2024年1月22日~26日
ColBase への収蔵品データ追加
2023年10月に宮内庁から独立行政法人国立文化財機構に移管する三の丸尚蔵館収蔵品をColBaseに掲載予定。
SNSによる文化財情報データベース活用方法の発信
X(Twitter)・Instagram・ぶんかつブログ等を通じてデータベース掲載画像の活用方法を定期的に発信。
〈冬木小袖〉修理プロジェクト 修理完成記念お披露目
寄附により修理が実現した重要文化財「小袖 白綾地秋草模様〈冬木小袖〉」(尾形光琳筆)本格修理完了後の初展示(2023年10月3日~)にあわせ、寄附者向けの内覧会を実施。
2023年に5周年を迎えた「国立文化財機構 文化財活用センター」と、今後の取り組みの紹介でした。