金融・経済情報サービス会社「QUICK」と公益財団法人連合総合生活開発研究所はESGの「社会(S)」の指標に関する共同研究の結果を取りまとめ、「日本版ディーセント・ワーク8指標(JD8:Japan Decent Work 8 Index)」として公表しました。
QUICK×連合総合生活開発研究所「日本版ディーセント・ワーク8指標」
ディーセント・ワーク(Decent Work)は、働きがいのある人間らしい仕事を意味します。
Sの指標についてはこれまでも多くの国際ガイドラインや基準が提案されてきました。
しかし、雇用慣行や労働などは国・地域によって特性があり、国際的な基準や指標だけでは十分に企業の実情が反映されない面がありました。
QUICKと連合総研は2020年9月から、国際的基準も踏まえ日本固有の構造問題を適切に反映した指標の共同研究に取り組み、「日本版ディーセント・ワーク8指標(JD8)」として取りまとめました。
日本版ディーセント・ワーク8指標(JD8)は、(1)適切な労働時間と賃金、(2)男女格差の撤廃、(3)柔軟な働き方、(4)職場の安心、(5)人的資本への投資、(6)ダイバーシティ&インクルージョン、(7)サプライチェーンの働き方、(8)健全な労使関係――の8指標で構成されます。
これら8指標を細分化し、13の中核指標と12の補完指標を設定しました。
S課題はシステミックリスクであり、JD8に取り組むことは、日本の経済社会全体の基盤を強くし、企業にとっては企業価値の向上、投資家にとっては投資ポートフォリオ全体のパフォーマンス向上、また働く人々にとっては働き甲斐の向上につながり、ひいては社会全体にとっては、誰一人取り残さない、誰もが尊重され安心して働ける社会の構築につながる、という好循環を生むことになると考えます。
JD8は、単なる「箇条書きの開示項目リスト」ではなく、企業と投資家の対話を促し、実質的な取り組みを促進するための指針です。
今後QUICKと連合総研は、企業、投資家、関係ステークホルダーへの普及啓発、インデックス化など、ステークホルダーの皆様に活用される指標として社会実装に取り組んでいきたいと思います。
本指標については、QUICKが全6回にわたって開催する大型セミナー「オープンQUICK2023」の一環として、7月20日(木)に開催するシンポジウム『「日本版ディーセント・ワーク8指標」 投資家、企業、労働組合の果たすべき役割』で解説し、企業と投資家を交えて議論する予定です。
高見 信三・QUICK社長コメント
「QUICKと連合総研との共同研究の結果、日本特有の状況を踏まえたS指標を開発できました。
これをきっかけに企業と投資家の対話が進み、持続可能な社会の実現に寄与することを期待します」と述べています。
神津 里季生・連合総研理事長コメント
「JD8は、投資家・企業・労働組合の対話を促すためのツールです。
JD8の活用を通じて、職場や働き方の課題について、皆で考え、共有することが重要です。
そうした積み重ねが、誰もが尊重され、安心して働ける社会の構築に繋がると確信しています」と述べています。
シンポジウム『「日本版ディーセント・ワーク8指標」 投資家、企業、労働組合の果たすべき役割』は、2023年7月20日(木)に開催です。