GSアライアンスは、金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)、多孔性配位高分子(PCP:Porous Coordination Polymer)を自社で合成しています。
今回、同社の楫野 哲郎研究員が、同社の合成技術を発展させて、MOFを量産できる目途をつけました。
この手法によりMOFのコストも安価にできる可能性も高くなります。
GSアライアンス「金属有機構造体量産」技術開発
金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)、[別名:多孔配位高分子(PCP:Porous Coordination Polymers)]は金属カチオンとそれを架橋する多座配位子によって構成される物質です。
構成される金属及び有機配位子を制御することで、細孔の形状、大きさや分子官能基を分子レベルで精密調整することができる超多孔性材料で、ノーベル賞候補の材料とも言われている最先端材料です。
従来の多孔性材料である活性炭、メソポーラスシリカなどは細孔構造、比表面積の精密制御は困難でした。
しかし、MOFは分子設計に配位結合を精密に取り入れることができるため、細孔構造、比表面積、形態などをナノメートルレベルよりも小さいレベルにおいても設計できます。
非常に複雑な構造体の構築や高次機能の発現が可能となり、これまでの多孔性材料よりも軽量で、高い比表面積(数千m2/g以上)を有しています。
MOFの応用例としては、ガス吸着、ガス貯蔵、水処理、センサー、医療用途など多岐にわたります。
GSアライアンスにおいてもリチウムイオン電池、各種二次電池、燃料電池の電極材料、そして光触媒、色素吸着、金属吸着、固体酸触媒、人工光合成などへの応用を含めた研究開発を行っています。
しかしながら、MOFは現時点では合成に手間がかかり、結果としてコストが高くなってしまう大きな弱点があります。
今後は、この安価になりえるMOFを用いて、同社の電池材料、人工光合成、固体触媒の材料としての検討、そして、他社、社会に向けた実装を目指し検討を進めて行きます。