芝浦工業大学デザイン工学部デザイン工学科の吉武研究室と、オリエントコーポレーション、トッパン・フォームズの三者が、視線計測と脳波計測を用いてWebサービスの認知とUI・UXに関する共同研究を実施。
ユーザーがサービスを利用する際、行動のきっかけとなる無意識のイメージ(メンタルモデル)が構築されやすいかどうかを分析する新手法を確立しました。
視線と脳波の計測結果とWeb利用のログ、専門家の診断結果を分析することにより「初心者には使いづらい」「初心者でも熟練者と同じように使える」の判断および「いつも使いづらい箇所」「たまに使いづらい箇所」などの発見・分類が従来よりも短時間で可能になりました。
芝浦工業大学「Webサービスのユーザビリティ分析手法」
芝浦工業大学デザイン工学部デザイン工学科の吉武研究室と、オリエントコーポレーション、トッパン・フォームズの三者が、視線計測と脳波計測を用いてWebサービスの認知とUI・UXに関する共同研究を実施。
ユーザーがサービスを利用する際、行動のきっかけとなる無意識のイメージ(メンタルモデル)が構築されやすいかどうかを分析する新手法を確立しました。
本研究では、メンタルモデルの構築状況のほかに、構築の促進要因と阻害要因を把握することを目的としています。
メンタルモデルの構築の促進要因と阻害要因を把握できれば、印刷物やWebに促進要因を盛り込み、阻害要因をなくすことで、メンタルモデルが早く構築できるようになります。
具体的には芝浦工業大学とトッパンフォームズが保有する視線と簡易脳波計測装置で、オリコの会員サイト「eオリコ」上でのメンタルモデルの構築状況が計測されました。
「eオリコ」で利用目的が異なる2つのパターンを想定し、各パターンで指定する箇所を複数確認するテストを設定。
1テスト各5人合計10人の実験協力者に1人5回、時間を置いて同じテストを繰り返しました。
テストの内容を決める段階で「eオリコ」の中で“分かりづらい”と予想される操作を把握し、テストで迷うかが確認されました。
視線計測では、2パターンとも、2~3回目で視線の移動距離が少なくなっていたことから操作する場所がイメージできていると判断でき、メンタルモデルが構築されたと判明。
所要時間に関しても、視線の移動距離に比例していました。
また、メンタルモデルの構築の促進要因は視線の滞留が短く、阻害要因は視線の滞留が長かったり、注目したり操作すべき部分に視線がすぐにいかなかったりすることが分かりました。
脳波計測では、電通サイエンスジャム製の感性アナライザーで、「ワクワク度」「興味」「集中」「沈静」「ストレス」の5つの感性の平静時からの変化の値を計測。
その結果、メンタルモデルの構築されていない1回目は「沈静」以外の平均値が高く、1回目は「ワクワク」「イライラ」しながら利用していたことがわかりました。
続いてパターン1と2の確認事項別のNE比を計算。
NE比とは、何かを使用したときのノービス(初心者)の所要時間とエキスパート(熟練者)の所要時間で割ったものです。
NE比は4.5を超えると、初心者にわかりづらいので改善が必要とされています。
NE比はパターン1全体で5.7、パターン2全体で9.2と比較的高く、初心者にわかりづらく、改善が必要という結果が明らかになりました。
パターン1・2の確認事項ごとの数値では、確認事項1はそれぞれ他の確認事項よりNE比が低いことが判明。
パターン1・2の確認事項1には、マイページのログインが含まれていましたが、文字の読み間違えが多く、セキュリティを高めるための工夫が、かえってログイン阻害につながる要因となっていました。
本研究では、メンタルモデルの構築の促進要因と阻害要因は、視線の移動距離や滞留などから判断できるという結果が出ました。
また、使い続けても「いつも使いづらい」や「時々使いづらい」ケースがあり、視線データでなくても所要時間などがわかるWebなどの「ログデータ」でその要因を特定できる可能性があることが判明しました。
画面にさまざまな要素が画面に存在する場合より、要素が少ないスマホの画面などの分析に適しています。
これにより視線と脳波の計測結果とWeb利用のログ、専門家の診断結果を分析することにより「初心者には使いづらい」「初心者でも熟練者と同じように使える」の判断および「いつも使いづらい箇所」「たまに使いづらい箇所」などの発見・分類が従来よりも短時間で可能になりました。
芝浦工業大学が発表した「Webサービスのユーザビリティ分析手法」の紹介でした☆