意図を識別して自然な操縦を守る! 芝浦工業大学「運転者意図認識型・状況適応安定化制御システム」

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記事ポイント

  • Steer-by-Wireと機械学習で「旋回」と「不安定状態」をリアルタイム識別
  • 転倒リスク時のみ制御を作動し、意図的な旋回への不要な介入を防ぐ
  • 高齢者向けモビリティや電動アシスト自転車への応用が期待される技術

 

芝浦工業大学システム理工学部の桑原央明准教授と大学院修士課程の塚瀬翔太氏が、運転者の運転意図をリアルタイムに推定し、必要な場合にのみ車体の安定化制御を行う「運転者意図認識型・状況適応安定化制御システム」を開発しました。

本技術はSteer-by-Wire(SBW)技術と機械学習を組み合わせたもので、研究成果はメカトロニクス分野の国際学術誌「IEEE/ASME Transactions on Mechatronics」に掲載されています。

 

芝浦工業大学「運転者意図認識型・状況適応安定化制御システム」

 

  • 論文タイトル:Rider-Intent-Aware Scenario-Adaptive Stabilization Control for a Steer-by-Wire Bike
  • 掲載誌:IEEE/ASME Transactions on Mechatronics
  • DOI:10.1109/TMECH.2026.3699418
  • Print ISSN:1083-4435
  • Online ISSN:1941-014X

 

芝浦工業大学は1927年創立の私立理工系大学で、東京(豊洲)と埼玉(大宮)に2キャンパス、工学部・システム理工学部・デザイン工学部・建築学部の4学部と大学院を擁します。

今回の研究はシステム理工学部の実世界情報メカトロニクス研究室が主体となって進めたもので、電動バイクの運転支援という実用的な課題に機械学習とSBW技術の融合で取り組みました。

 

研究の背景と課題

 

自転車や電動バイクなどの二輪車は、旋回時に車体を傾けるという固有の運動特性を持つため、運転者の意図と転倒リスクを区別することが難しく、高度な運転支援技術の実用化は限定的でした。

従来の安定化制御では、車体が傾くと自動的に姿勢を戻そうとするため、運転者が意図的に旋回しようとした場合でも制御が介入し、操作感を損なう課題がありました。

また、機械式ハンドルでは運転者が加えた操作力と路面からタイヤを通じて伝わる反力が混在するため、運転者の意図を力の情報から正確に読み取ることが困難でした。

 

Steer-by-Wireと機械学習の融合

 

本研究では、ハンドルと前輪を電気的に接続するSteer-by-Wire技術を搭載した実験用電動バイク(フレーム刻印名:HACHNESS)を開発しました。

SBWによりハンドルと前輪を機械的に切り離し、電気信号で操舵を行う構造にすることで、運転者がハンドルに加える力と、タイヤが路面から受ける反作用力を分離して取得できます。

運転者がハンドルに加える力には「曲がりたい」「姿勢を保ちたい」という操作意図が反映され、路面からの反作用力には走行状態や車体の不安定さに関する情報が含まれます。

これらを分離して扱うことで、運転者の意図と車体の状態をより正確に推定できます。

 

3クラス識別と状況適応制御

 

車速、操舵角、車体の傾き、路面反力などの情報を機械学習に入力し、深層学習モデル(LSTM)によって走行状況を「直進」「旋回」「不安定状態」の3クラスにリアルタイムで分類します。

システムが「不安定状態」と判断した場合のみ車体姿勢を回復させる安定化制御を作動させ、「旋回」と判断した場合には制御を介入させず、運転者本来の操縦を尊重します。

実験ではカーブ走行時と転倒につながる不安定状態を高精度で識別し、適切なタイミングでのみ姿勢制御を行えることを実証しました。

これにより、従来システムで課題だった「曲がろうとしているのに制御が邪魔をする」不要な介入を防ぎながら安全性を高めています。

 

応用が期待される領域

 

本技術は高齢者向けモビリティや電動アシスト自転車、配送モビリティへの応用が期待されています。

人間中心型の運転支援技術として、運転者の意図を理解した上で必要な支援だけを行う点が、幅広いモビリティ分野での活用につながる特徴です。

 

「曲がりたい」と「転びそう」をリアルタイムで見分け、自然な操縦感覚を保ちながら転倒防止を支援するこの技術は、二輪車の安全性向上に新たな可能性を示しています。

高齢者向けモビリティや電動アシスト自転車など身近な乗り物への応用が進むことで、より多くの場面で安心して走行できる環境が実現します。

「運転者意図認識型・状況適応安定化制御システム」の紹介でした。

 

よくある質問

 

Q. この技術はどのような学術誌に発表されましたか?

 

A. メカトロニクス分野の国際学術誌「IEEE/ASME Transactions on Mechatronics」に掲載されました。

DOIは10.1109/TMECH.2026.3699418です。

 

Q. 走行状況はどのように分類されますか?

 

A. 車速、操舵角、車体の傾き、路面反力などの情報を深層学習モデル(LSTM)に入力し、「直進」「旋回」「不安定状態」の3クラスにリアルタイムで分類します。

 

Q. どのようなモビリティへの応用が期待されていますか?

 

A. 高齢者向けモビリティ、電動アシスト自転車、配送モビリティへの応用が期待されています。

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