記事ポイント
- 文化財活用センターと大塚オーミ陶業が、複製品を使った文化財理解促進プロジェクトを始動します
- 2026年度は、重要文化財「遮光器土偶」の複製品製作が予定されています
- 触れる鑑賞や出張授業、視覚特別支援学校向け教育プログラムの開発につながります
国立文化財機構の文化財活用センター〈ぶんかつ〉と、大塚オーミ陶業が「複製を用いた文化財の理解促進プロジェクト」を開始します。
本物に近い鑑賞体験をめざした複製品を製作し、学校や学習の場で触れながら文化財に親しめる機会を広げます。
文化財活用センター・大塚オーミ陶業「複製を用いた文化財の理解促進プロジェクト」

- プロジェクト名:複製を用いた文化財の理解促進プロジェクト
- 開始発表日:2026年4月30日
- 実施:国立文化財機構 文化財活用センター〈ぶんかつ〉、大塚オーミ陶業株式会社
- 対象:独立行政法人国立文化財機構の収蔵品
- 主な内容:複製品の製作、新しい活用方法の開発、モデル事業の開発、共同研究、実証実験
「複製を用いた文化財の理解促進プロジェクト」は、脆弱な文化財にかかる展示上の制限を踏まえ、複製品を通じて鑑賞と学びの入口を広げる取り組みです。
大塚オーミ陶業のセラミックアーカイブ技術を用いた複製品は、目で見るだけでなく手で触れられる設計をめざし、美術館や博物館だけでは届きにくい体験を学校や地域の学習現場へ運びます。
法隆寺金堂壁画の複製品を検品する場面では、壁画面の色や質感を細かく確かめる作業が重なり、文化財を未来へ伝えるための精密なものづくりが進められています。
2026年度製作予定

- 製作予定:遮光器土偶
- 指定:重要文化財
- 時代:縄文時代 晩期
- 年代:前1000〜前400年
- 出土:青森県つがる市木造亀ヶ岡
2026年度の製作予定として、青森県つがる市木造亀ヶ岡から出土した重要文化財「遮光器土偶」の複製品が挙げられています。
大きく張り出した目元や丸みを帯びた身体の輪郭、土器ならではの重みを感じさせる造形が、複製品を通じて近い距離で学べる題材になります。
教室やワークショップで立体のかたちを手がかりにすると、縄文時代晩期の造形感覚や出土地の背景まで、鑑賞体験として受け止めやすくなります。
ハンズオン活用

複製品の活用では、ぶんかつアウトリーチプログラムのキャリア教育プログラム開発、視覚特別支援学校などで展開できる教育プログラム開発、複製品の貸出しが予定されています。
小学校の出張授業では、机を囲んだ児童が複製品に手を伸ばし、表面の凹凸や大きさを確かめながら学ぶ時間が生まれます。
触れる体験を中心に据えることで、展示ケース越しでは伝わりにくい厚みや質感が学びの入口になり、視覚に頼りきらない鑑賞支援にもつながります。
セラミックアーカイブ
大塚オーミ陶業は、独自技術に3D計測などの新しい技術や研究成果を融合し、文化資産をやきもので記録・保存・活用するセラミックアーカイブに取り組んでいます。
同社は「国会議事堂 テラコッタ改修」「キトラ古墳壁画の複製」「法隆寺金堂壁画の複製」「火焔型土器(指定番号1)の複製」など、文化資産の保存と公開に関わる実績を重ねています。
やきものは耐候性と耐久性に優れる素材で、大塚国際美術館では1000点を超える西洋名画の陶板作品製作にも活用され、屋内外での公開や教育利用の選択肢を広げています。
ぶんかつの役割
文化財活用センター〈ぶんかつ〉は、2018年に国立文化財機構へ設置された文化財活用のためのナショナルセンターです。
「文化財を1000年先、2000年先の未来に伝えるために、すべての人びとが、考え、参加する社会をつくる」というビジョンのもと、文化財に親しむ機会づくりを進めています。
今回の共同研究と実証実験は、保存と公開の両立に加え、人材育成や教育現場での体験設計までを含むプロジェクトとして展開されます。
文化財を守りながら、触れて学べる場を増やす共同プロジェクトです。
複製品の再現性、耐久性、利便性の向上が進むことで、授業や貸出し、鑑賞支援の現場に使いやすい選択肢が加わります。
文化財の未来を考えるきっかけを、身近な学びの時間へ届ける取り組みです。
「複製を用いた文化財の理解促進プロジェクト」の紹介でした。
よくある質問
Q. 文化財活用センター〈ぶんかつ〉はどのような組織ですか
A. 2018年に国立文化財機構に設置された、文化財活用のためのナショナルセンターです。
Q. セラミックアーカイブは何を目的にした取り組みですか
A. 文化資産をやきもので記録・保存・活用し、今を未来へ伝えることを目的にした取り組みです。
Q. 複製品の貸出しはプロジェクト内容に含まれますか
A. 複製品の貸出しは、複製品の活用に関する活動内容に含まれます。