直感と論理を融合した次世代AI!IEEE「ニューロシンボリックAI」

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世界各国の技術専門家が参加するIEEE(アイ・トリプルイー)は、人工知能の新たなパラダイム「ニューロシンボリックAI」に関する解説を公開しました。

現在の主流であるニューラルネットワークと、かつての記号推論システムを融合させ、それぞれの弱点を補完するこの技術は、AIの「第三の波」として大きな注目を集めています。

 

IEEE「ニューロシンボリックAI」解説

 

「ニューロシンボリックAI」とは、データからパターンを学習する「ニューラルネットワーク」と、明示的なルールや論理を用いて推論する「シンボリック推論システム」を組み合わせたものです。

IEEEフェローのHoubing Song氏による解説をもとに、この技術がなぜ必要とされ、どのように社会を変えていくのかを紹介します。

 

直感と論理の融合

 

このアプローチは、心理学者ダニエル・カーネマンが提唱した「人間は二つの思考様式を持つ」という考え方を反映しています。

一つはパターン認識に優れた「迅速で直感的な思考」で、これは深層学習などのニューラルネットワークに相当します。

もう一つは計画や演繹に長けた「遅く論理的な思考」で、これが記号推論システムにあたります。

ニューロシンボリックAIは、これら両方の特性を併せ持つことで、学習し、推論し、信頼できるAIの実現を目指しています。

 

AIの「第三の波」と呼ばれる理由

 

現在の主流であるニューラルネットワークは学習能力に優れていますが、意思決定の過程がブラックボックス化しやすく、説明可能性が低いという課題があります。

一方、記号的システムはルールに基づくため説明可能ですが、未知の環境への適応力に欠けます。

これら双方の課題を解決する手段として、両者を統合したニューロシンボリックAIが「第三の波」として期待されています。

文脈に応じた行動の変更や、人間の意図との整合性を保つことが可能になります。

 

現実世界での応用と課題

 

すでに一部の大企業では、物流センターにおけるロボット群の制御にこの技術を活用しています。

物品を扱う最適な場所の判断には記号推論を、画像の分類などの知覚タスクにはニューラルネットワークを用いることで、性能と安全性を高めています。

また、自動運転車の分野でも、安全な自律動作を実現するための技術として有望視されています。

最大の技術的課題は、異なる二つのシステムをどのように最適に統合するかという点にあり、現在も様々な手法が研究されています。

 

次世代のAI技術として、より人間に近い柔軟な思考と信頼性を兼ね備えたシステムの登場が待たれます。

 

IEEE「ニューロシンボリックAI」の紹介でした。

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