三井化学が、3Dプリンターで作製する義歯用材料について、総義歯を対象とした保険適用が了承されたと発表。
同社子会社のクルツァージャパンが販売する製品で、日本初となる3Dプリンター製義歯材料の保険適用が2025年12月1日付でスタートしました。
三井化学「3Dプリンターで作製する義歯用材料」

適用日:2025年12月1日
対象:総義歯(3次元プリント有床義歯義歯床用材料および3次元プリント有床義歯歯冠部用材料)
販売元:クルツァージャパン株式会社
国内で初めて、3Dプリンターを用いて作製する義歯(入れ歯)の材料が公的医療保険の適用対象となりました。
高齢化が進む日本において、多くの患者が必要としている総義歯。
その製作現場が抱える課題を、デジタル技術で解決へと導く画期的なニュースです。
デジタル技術による製作プロセス

製作プロセスは、クラウドベースのソフトウェア上でデザインを作成することから始まります。
そのデータをもとに、専用インクを用いて3Dプリンターで歯肉部分と歯部分をそれぞれ造形。
それらを接着し、仕上げ処理を行うことで総義歯が完成します。
従来、熟練した歯科技工士の手作業に頼っていた工程をデジタル化することで、作業時間の大幅な短縮と、個人の技量に左右されない均質な品質の確保が可能になります。
社会課題への貢献
現在、日本では75歳以上の20%以上が全ての歯を失っている状態にあり、年間約18万人が総義歯を作製していると言われています。
一方で、作り手である歯科技工士の高齢化や若手の人材不足が深刻化しており、安定供給への懸念が高まっていました。
今回の保険適用により、3Dプリンター技術の社会実装が進み、これらの課題解決に向けた大きな一歩となることが期待されます。
歯科治療の新たな選択肢として広がりを見せる3Dプリンティング技術。
患者のQOL向上と医療現場の負担軽減に寄与する取り組みに注目です。
三井化学「3Dプリンターで作製する義歯用材料」の紹介でした。