EVシフトで拠点再編が進む!リスクモンスターチャイナ調査「第2回中国における日系自動車製造業の市場動向」

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リスクモンスターチャイナ(利墨(上海)商務信息咨詢有限公司)が、中国における日系自動車製造業の市場動向に関する最新の調査結果を発表しました。

急速に進むEV(電気自動車)シフトと中国系メーカーの台頭を背景に、日系企業の現地法人数が減少し、拠点再編や電動化対応へのシフトが鮮明になっている実態が明らかになりました。

 

リスクモンスターチャイナ調査「第2回中国における日系自動車製造業の市場動向」

 

調査レポート表紙イメージ

 

調査対象:2025年4月時点で開示された中国全土の法人登記情報に基づく日系自動車製造業772社

発表日:2025年11月20日

本調査は、リスクモンスターチャイナが独自に収集した日系企業データベースに基づき、中国全土の自動車製造業に分類される日系企業772社の動向を分析したものです。

前回調査(2023年3月時点)からの約2年間で、中国市場ではEV化が加速し、中国系完成車メーカーのシェアが65.2%(2024年)に達するなど市場環境が激変しました。その影響を受け、日系自動車製造業の企業数は前回より53社減少し、日系企業全体に占める割合も2.8%へと縮小しています。

 

電動化対応で「住友電工」が首位に浮上

 

親会社別企業数ランキングトップ10

 

企業別の動向では、EV化の波に乗れるかどうかが順位に色濃く反映される結果となりました。

日本の親会社別ランキングでは、電動化対応部品の需要拡大を背景に現地でのプレゼンスを高めた「住友電気工業」が、前回首位の「日産自動車」を上回りトップに浮上しました。一方、完成車メーカーである日産自動車は現地法人数を4社減らすなど、既存拠点の再編や効率化を優先する動きが見られます。

上位の顔ぶれ(トヨタ自動車、アイシン、本田技研工業など)に大きな変化はないものの、新規投資よりも撤退や統合が進んでいる傾向が読み取れます。

 

中国系メーカーの本拠地「安徽省」へ進出シフト

 

中国日系自動車製造業の地域分布図

 

地域分布においては、広東省、湖北省、天津市といった従来の日系完成車メーカーの拠点がある地域に依然として多くの企業が集中していますが、新たな潮流も生まれています。

新設企業の立地を見ると、奇瑞(Chery)や蔚来(NIO)といった有力な中国系自動車メーカーが本社を構える「安徽省」への進出が増加しています。これは、日系サプライヤーが日系完成車メーカーだけでなく、成長著しい中国系EVメーカーへの部品供給網(サプライチェーン)に入り込もうとする「現地化戦略」の表れと言えます。

 

EVシフトという荒波の中で、日系企業の生存戦略が「再編」と「現地メーカーへの接近」へと変化していることを示す、リスクモンスターチャイナの調査レポートでした。

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