明治安田厚生事業団 体力医学研究所は、高齢者向けオンライン健康づくりシステムの実証研究の一環として、オンラインで行う軽体操プログラムの健康効果を検証しました。
その結果、高頻度かつ短時間のオンライン体操教室が、高齢者の最大歩行速度を改善させることが分かりました。
本研究の成果は、老年学分野の国際学術誌「BMC Geriatrics」に2025年11月3日付で早期公開されています。
明治安田厚生事業団「オンライン体操教室」実証研究結果

高齢期における運動は健康寿命の延伸に欠かせませんが、関節痛や意欲の低下などから継続的な実践は容易ではありません。
そこで本研究では、身体的・心理的な負担が少ない低強度運動に注目し、オンラインを活用した新たな介護予防・健康づくりの仕組みが考案されました。
1日20分の「スローエアロビック」で最大歩行速度が改善

東京都八王子市在住の60歳以上の高齢者を対象に、平日の毎朝20分間、12週間にわたり自宅からオンラインで体操教室(音楽に合わせた軽体操「スローエアロビック」)に参加してもらう研究が行われました。
その結果、体操教室に参加したグループは、通常生活を送ったグループに比べて最大歩行速度が平均で0.10m/秒改善しました。
これは、加齢による約7年分の歩行能力低下を取り戻す効果に相当するとのことです。
高い参加率とオンラインの可能性

オンライン体操教室への参加率は平均94.5%と高く、高齢者でも自宅で無理なく継続的に参加できることが確認されました。
移動の負担がなく、安全に楽しく続けられる点が継続につながったと考えられます。
今後は、地域の公民館などで活動するグループ向けの配信モデルなど、より幅広い層への展開が期待されています。
負担の少ない運動でも、継続することで身体機能を維持・改善できる可能性が示されました。
自宅でできるオンライン体操は、これからの介護予防の有力な選択肢となりそうです。
明治安田厚生事業団による「オンライン体操教室」実証研究結果の紹介でした。