記憶や覚醒に関わる神経系を即座に活性化することが明らかに!芝浦工業大学 フラバノールの「渋み」による脳活性化メカニズムを解明

投稿日:2025年11月1日 更新日:

芝浦工業大学 システム理工学部の越阪部奈緒美教授らの研究グループが、チョコレートや赤ワインなどに含まれるフラバノールの「渋み」に関する研究成果を発表。

この「渋み」が感覚刺激として脳に信号を送り、記憶や覚醒に関わる神経系を即座に活性化することを明らかにしました。

従来の「消化・吸収」モデルとは異なる、新たな仕組みの解明に注目が集まります。

 

芝浦工業大学 フラバノールの「渋み」による脳活性化メカニズムを解明

 

フラバノールの渋みが脳を活性化するイメージ

 

これまで食品成分が脳に作用するには、消化・吸収されて血中に移行する必要があると考えられてきました。

しかし、フラバノールは血中への吸収率が極めて低いことが知られており、脳への作用を説明することが困難でした。

今回の研究では、フラバノールの「渋み」という感覚が神経を介し、脳や自律神経に直接影響を与える可能性が示されました☆

 

フラバノールの脳への影響と従来の謎

 

赤ワインやチョコレートに含まれる「フラバノール」は、渋み(収斂性)を持つ代表的なポリフェノール化合物です。

先行研究では、海馬依存性記憶を回復させる効果が実証され、認知機能の改善の可能性も示唆されていました。

しかし、経口摂取したフラバノール自体は生体利用率が低く血中濃度も微量なため、どのように脳や神経に作用しているのか、その仕組みは不明でした。

 

「渋み」の感覚刺激が脳を即時活性化

 

研究グループは、フラバノールの「渋み」という感覚刺激が、口腔や腸の神経を介して脳に信号を送る可能性に着目。

実験でマウスにフラバノールを一度だけ経口投与したところ、脳の青斑核(LC)が即座に活性化しました!

これにより、ノルアドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質が増加し、記憶力や覚醒状態の向上、ストレス応答の活性化が確認されました。

 

感覚栄養学や健康食品開発への応用に期待

 

今回の成果は、食品の「味」や「感覚」が脳や自律神経に影響を与える可能性を実証するものです。

これは、感覚栄養学(Sensory Nutrition)という新しい研究分野の発展にもつながります。

今後は、味や食感を活かした機能性食品の開発や、認知機能やストレスケアを目的とした食事設計など、健康維持・増進に向けた応用が期待されます☆

 

食品成分が消化・吸収されなくても、「味」や「感覚」だけで脳機能に即座に影響を与えるという発見は、今後の健康のあり方を大きく変えるかもしれません。

チョコレートや赤ワインを味わうことが、ただの楽しみだけでなく、脳を刺激するきっかけになっている可能性が示されました。

 

芝浦工業大学による、フラバノールの「渋み」が脳を活性化するメカニズムの研究成果の紹介でした。

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