芝浦工業大学と株式会社ケー・エフ・シーは、廃太陽光パネルから微生物を用いてレアメタルの一種「セレン」を浄化・回収し、再資源化することに世界で初めて成功したと発表しました。
将来大量廃棄が懸念される太陽光パネルの環境問題解決と、資源循環に貢献する画期的な技術です。
芝浦工業大学/ケー・エフ・シー 廃太陽光パネルから微生物でレアメタル「セレン」を回収・再資源化
共同研究:芝浦工業大学 メタルバイオテクノロジー共同研究講座 山下光雄シニア教授、株式会社ケー・エフ・シー
研究内容:微生物を用いた廃太陽光パネルからのセレン浄化回収・再資源化
発表内容:世界で初めて成功
レアメタルの一種であるセレンは、半導体材料や太陽光パネルに利用される一方、その化合物には毒性があり浄化が必要です。
また、2030年以降に大量廃棄が予想される太陽光パネルには有害物質が含まれるものもあり、環境への影響が懸念されています。
こうした社会・環境問題の解決に向け、芝浦工業大学とケー・エフ・シーは、廃太陽光パネルから環境に優しい微生物を用いてセレンを回収し、再資源化する研究に取り組んできました。
世界で初めてセレンの浄化回収再資源化に成功
今回、セレンを含むCIGS(Cu, In, Ga, Se)系使用済み廃太陽光パネルからCIGSを溶解させ、中和後にセレン酸還元微生物Stutzerimonas stutzeri NT-Iと反応させる手法を開発。
この手法により、セレンの回収再資源化に世界で初めて成功しました。
環境に優しい微生物を用いて、有害物質を浄化すると同時に、価値ある資源として回収できる画期的な方法です。
メタルバイオテクノロジー共同研究講座
この研究は、2023年に芝浦工業大学とケー・エフ・シー間で開設された「メタルバイオテクノロジー共同研究講座」による成果です。
この講座は、生物プロセスを用いて地球環境に優しいヒトと金属類との関係をサポートする「メタルバイオテクノロジー」の考え方に基づき、太陽光パネルからのレアメタル回収再資源化などを目指して技術開発を行っています。
将来の大きな社会・環境問題となりうる廃太陽光パネルを、価値ある資源へと転換する画期的な技術。
環境に優しい微生物の力を利用した世界初のこの取り組みは、持続可能な循環型社会の実現に向けた大きな一歩となります。
芝浦工業大学と株式会社ケー・エフ・シーによる、廃太陽光パネルからのレアメタル再資源化技術の紹介でした。