ローバルは、初めて、水性でありながら混合作業が不要な「1液型水性有機系ジンクリッチペイント(特許出願中)」の基本技術開発に成功。
ローバル「1液型水性有機系ジンクリッチペイント(特許出願中)」基本技術開発
ローバルは、初めて、水性でありながら混合作業が不要な「1液型水性有機系ジンクリッチペイント(特許出願中)」の基本技術開発に成功しました。
本技術を基に、2026年度中の製品化を目指します。
※自社調べ
■技術革新のポイント:特殊技術で「水」と「亜鉛」の反応を制御
このジレンマを解決したのが、同社の新技術です。
水性塗料でありながら1液化を阻んでいた最大の課題は、水と高濃度に配合された亜鉛粉末が反応し、水素ガスを発生させてしまうことや塗料性能を劣化させてしまうことでした。
今回、革新的な独自技術を用いることにより、水素ガス発生を抑制しつつ、亜鉛本来の防食性能を最大限に引き出すことに成功。
これにより「水性」と「1液」の両立を世界で初めて実現しました。
■新技術の詳細
1. 水素ガス発生抑制と防食性維持の両立という高い壁
水性ジンクリッチペイントにおいて、水と亜鉛の反応、すなわち水素ガスの発生を抑制しようとすると、亜鉛の反応性が低下し、防食性能が損なわれます。
この水素ガスの発生抑制と防食性の維持は互いに相反する事象であり、両立させることは極めて困難な技術課題でした。
2. 課題克服を証明する実験結果
本開発技術は、この二律背反の課題を独自の技術アプローチにより解決しました。
●水素ガス発生抑制効果(図1)
図1は、従来の水性製品と本開発品を比較したガス発生量の経時変化です。
従来品はわずか3日で大量のガスが発生しているのに対し、開発品では長期間にわたり水素ガス発生量が極めて少なく、非常に高い水素ガス発生抑制効果を持つことが確認されました。
これにより、1液での長期安定性を確保できることを示しています。
図1 水素ガス発生量の経時変化比較
●優れた防食性能の維持(写真1)
写真1は、腐食促進試験である塩水噴霧試験(SST)を1440時間実施した結果です。
開発品は、さびや塗膜の膨れなどの異常が一切見られず、従来の水性製品と同等の優れた防食性能を維持していることが実証されました。
これにより、ガスの発生を抑制しても、防食性能が損なわれないことが分かります。
写真1 SST試験結果比較