Spelldataは、2025年7月に全国6都市(札幌・新潟・東京・名古屋・大阪・福岡)で実施した、携帯4社(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)のモバイル回線品質比較レポートを公開しました。
Spelldata「2025年7月度モバイル回線品質調査レポート」
価格 : 無料
地域別データ : 札幌・新潟・東京・名古屋・大阪・福岡
ダウンロード形式: WebサイトよりExcel形式で入手可能
Spelldataは、2025年7月に全国6都市(札幌・新潟・東京・名古屋・大阪・福岡)で実施した、携帯4社(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)のモバイル回線品質比較レポートを公開。
この調査は、従来の手法を刷新し、統計的品質管理と最新のSynthetic Monitoring技術を活用した科学的な分析を実施。
速度だけでなく、応答速度(Ping)、パケットロス、ホップ数など多角的な指標で品質を評価しています。
レポートはWebサイトから無料でダウンロードでき、地域別の詳細データも提供。
通信品質向上や業界全体の発展に寄与する内容で、携帯会社関係者はもちろん、報道関係者や一般ユーザーにも活用できます。
■科学的手法による通信品質評価の必要性と社会的意義
近年、スマートフォンやIoT機器の普及、リモートワークの拡大により、モバイル通信回線は日本社会において不可欠なインフラとなっています。
こうした中で、通信品質を正確に評価し改善することは、国民生活や産業活動の基盤を支える上で極めて重要です。
従来の携帯回線品質調査は、基地局の問題を前提とした分析や標本数の不足、また通信速度(スループット)だけを重視する傾向がありました。
しかし現代のユーザー体験では、応答速度(レイテンシ)や通信の途切れ(パケットロス)なども重要です。
従来手法では、これらの要素を十分に評価できず、真のボトルネックや改善点を特定することが困難でした。
同社は、GAFAMをはじめとする世界的企業や海外通信会社が採用する「Catchpoint」の日本代理店として、日本各地に計測センターを常設しています。
これらの拠点を活用し、統計的品質管理の手法を組み合わせることで、より客観的かつ精緻な通信品質分析を実施しました。
この調査では、この既存インフラを活かすことで、全国規模かつ安定したデータ収集を可能にしています。
通信回線の品質向上は、単なる企業間競争を超え、国民の生活の質や日本の国際競争力に直結します。
特に、携帯通信に利用される電波は国民の共有財産であり、その有効かつ公平な利用は携帯通信事業者の重要な責務です。
今回の調査は、こうした社会的責務を果たす上での一助となることを目指し、通信業界全体の品質向上を促し、より快適で信頼性の高いモバイルインフラの実現に貢献します。
■主な結果と特徴
今回の調査は、2025年7月1日から31日までの1か月間、全国6か所(札幌・新潟・東京・名古屋・大阪・福岡)の計測センターにて、携帯4社(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)の通信品質を計測・分析したものです。
計測には、海外で30年以上の実績を持ち、大手通信会社でも採用されている最新のSynthetic Monitoring(合成監視)技術を活用しました。
これにより、15分ごとにランダムなタイミングで回線の応答速度(Ping)、ホップ数、パケットロス率など、多角的な指標を取得しています。
【総合評価とランキング】
調査の総合評価では、auが全地域で安定した品質を維持し堂々の1位となりました。
ランキングは以下の通りです。
1位:au(全地域で安定、地域によっては他社を大きく引き離す)
2位:ソフトバンク
3位:楽天モバイル
4位:ドコモ
特にauは、札幌や新潟など複数地域で他社に比べ大幅な品質差を示し、総合力で首位を獲得しました。
【地域別の特徴】
●北日本エリア(札幌・新潟)
札幌・新潟ではauとソフトバンクが高品質を維持。
特に新潟ではauが圧倒的な優位性を示しました。
札幌の携帯回線品質散布図
札幌の携帯回線品質累積分布関数
新潟の携帯回線品質散布図
新潟の携帯回線品質累積分布関数
●関東・中部エリア(東京・名古屋)
東京・名古屋ではソフトバンクとauが僅差で競合。
名古屋ではauが最高品質を記録しました。
東京の携帯回線品質散布図
東京の携帯回線品質累積分布関数
名古屋の携帯回線品質散布図
名古屋の携帯回線品質累積分布関数
●関西・九州エリア(大阪・福岡)
大阪・福岡でもauとソフトバンクが安定した品質を提供し、ユーザー体験の向上に寄与しています。
大阪の携帯回線品質散布図
大阪の携帯回線品質累積分布関数
福岡の携帯回線品質散布図
福岡の携帯回線品質累積分布関数
【注目すべき結果】
●ドコモの課題
札幌・名古屋・大阪・福岡において、ドコモの積分値が他社の2倍以上となり、通信品質の改善が急務であるとうかがえます。
特にジッター(遅延時間のばらつき)やレイテンシの面で他社との差が顕著です。
●楽天モバイルの強み
楽天モバイルは、全地域でパケットロス率が極めて低く、安定性の面で優位性を示しました。
安定した接続を求めるユーザーには大きなメリットとなります。
●地域格差の顕在化
新潟ではキャリア間の品質差が最も大きく、auが圧倒的な優位を示しました。
都市ごとに通信品質の傾向が異なることも、本調査の特徴です。
本調査では、従来の「スループット偏重」から脱却し、レイテンシやパケットロスといった現代のユーザー体験に直結する指標を重視しています。
標本の大きさも十分に確保し、ランダムな15分に1回の計測を通じて、時間帯による変動も分析しました。
その結果、例えばドコモにおいては一部地域で遅延が顕著に見られ、原因は携帯基地局側ではなく、内部ネットワーク(バックボーン)に起因している可能性が高いことが示唆されました。
こうした分析により、従来手法では見落とされていたボトルネックや、真の品質課題を明確にすることが可能となっています。