大里研究所は、研究所が開発したFPPの2型糖尿病患者を対象とした臨床研究の成果が認められ、「2型糖尿病患者の治療法※」として、米国特許商標庁より新たに特許登録されました。
大里研究所
大里研究所は、研究所が開発したFPPの2型糖尿病患者を対象とした臨床研究の成果が認められ、「2型糖尿病患者の治療法※」として、米国特許商標庁より新たに特許登録された。
この特許は、FPPが2型糖尿病患者において、自然免疫応答の一部である「呼吸バースト」を促進し、免疫機能を高める作用を有することが科学的に示されたことに基づいています。
登録日:2025年6月10日, 特許番号US 12,324,822B2
※FPPは糖を主成分とした食品であり、根治的な治療を目的とした医薬品ではありません。
特許は、FPPが糖を主成分としながらも、2型糖尿病患者の免疫機能を補完的に維持する食品として有用性が認められたものです。
今回の新たな特許は、現在アメリカ・ピッツバーグ大学マクゴーワン再生医療研究所(MIRM)所長を務めるチャンダン・K・セン教授らとの共同研究に基づくものです(1)。
糖尿病患者では、高血糖状態が続くことで、免疫機能の低下が生じ、創傷治癒の遅延や感染症リスクの増加が報告されています。
特に米国においては、糖尿病患者における慢性創傷の増加や、それに伴う高額な医療費などが深刻な社会問題となっており、予防的アプローチや補完的な免疫サポートの重要性が高まっています。
セン教授らの研究チームは、FPPが糖質を主成分とする食品であることから、まず2型糖尿病患者に対して血糖値への影響がないことを確認したうえで、臨床研究を実施しました。
「呼吸バースト」は、マクロファージや好中球といった免疫細胞が体内に侵入した病原体を排除する際に、NADPHオキシダーゼの活性化により短期的に大量の活性酸素種(Reactive Oxygen Species:ROS)を産生する生態防御反応です。
この研究により、糖代謝異常により糖をエネルギー源として利用しにくい2型糖尿病患者において、FPPは安全に摂取可能であり、体内で有効なエネルギー源として機能すること、さらに「呼吸バースト」を高め、自然免疫機能の改善に寄与することが明らかとなりました。
この成果はすでに2018年、日本国特許庁において「ATP産生促進剤 及び ミトコンドリア活性促進剤 並びに 免疫賦活剤」として特許登録されており、今回の米国特許取得は、FPPの科学的有用性をさらに裏付けるものです。
FPPの安全性および免疫機能の改善効果は、こうした医療課題への新たな解決策となる可能性を示しており、医療費の削減やQOL(生活の質)向上に貢献することが期待されています(2)。
図2. FPP摂取による2型糖尿病患者の変化:(a)HbA1c値 (b)短期的なROS産生の改善
図3. FPPによる単球の変化:(a)細胞内エネルギー(ATP)産生の向上 (b)NADPHオキシダーゼの活性化 (c)ミトコンドリアの活性化
■活性酸素種の二面性とFPPの作用
活性酸素種(ROS)には 、細胞を傷つける「Bad ROS(悪いROS)」と免疫機能に必要な「Good ROS(良いROS)」という、2つの側面があります。
Bad ROSは、体内に過剰に蓄積すると「酸化ストレス」となり、慢性炎症、老化の加速、アルツハイマー病や糖尿病などの発症や進行に関与することが明らかになっています。
一方、Good ROSは、ウイルスや細菌などの外敵に対して免疫細胞が攻撃・排除する際に一時的に産生され、生態防御において重要な役割を果たします。
FPPは、Bad ROSの過剰な蓄積を抑えつつ、Good ROSの産生を適切に促進することで、抗酸化作用と免疫調整作用の両面から過剰な炎症反応を抑え、細胞を保護します。
こうした複雑な作用には、抗酸化機能や免疫機能の維持・強化を司る転写因子「Nrf2」の活性化が関与しており、FPPは「核内Nrf2量増加剤」として日本国特許を取得しています。
これまでの研究により、FPPが加齢により低下する抗酸化機能および免疫機能を改善することが明らかになっています。