佼成出版社は、2025年6月30日に、原爆をテーマとした戦争児童文学『新版 彼岸花はきつねのかんざし』(朽木 祥・作/ささめや ゆき・絵)を発刊しました。
『新版 彼岸花はきつねのかんざし』(朽木 祥・作/ささめや ゆき・絵)
発売日 : 2025年6月30日
販売場所 : 全国書店・インターネット書店
定価 : 1,760円(本体1,600円+税)
体裁 : A5判/180ページ
ISBNコード: 978-4-333-02942-6
佼成出版社は、2025年6月30日に、原爆をテーマとした戦争児童文学『新版 彼岸花はきつねのかんざし』(朽木 祥・作/ささめや ゆき・絵)を発刊。
【ストーリー】
「こんど、また遊んでね」
「こんども、こんども、また、こんどもね」
也子(かのこ)が出会った、ふわふわのしっぽの小さなきつね。
あしたも、きっときつねを探しに行こう。
そう思っていたのに――。
主人公は戦時下の広島でくらす、小学4年生の少女。
ふしぎな子ぎつねと次第に仲よくなっていきますが、一発の爆弾によって、つつましくも穏やかな日々が、突然奪われます。
あたりまえの暮らしが奪われることこそが、非戦闘員までも巻きこむ戦争の恐ろしさであり、悲しみなのです。
~著者・朽木 祥氏あとがきより~
もくじ
中面見開き
【書の特色】
1) 被爆二世であり、小学校国語教科書に採用された『たずねびと』の著者・朽木 祥氏による、新しい戦争児童文学の原点。
2) 日本児童文芸家協会賞、赤い鳥さし絵賞受賞作品。
3) 本書は2008年に発行された『彼岸花はきつねのかんざし』(Gakken)の新版です。
新版の刊行にあたり、全編を通して表記を改め、表現の一部を加筆修正しました。
4) 小学校中学年からを主な読者対象としていますが、あらゆる世代が読みやすいよう、総ルビをふっています。
【各界から推薦者の声】
幸せな時間を引き裂く戦争の非情さを描くことで、子どもたちにしっかりと考えてもらおうというのだろう。
そのねらいは、せつなくもみごとに表現されている。
――柳田 邦男(ノンフィクション作家)
この本には原爆はなかなか出てきません。
なぜって、「わたし」が子ぎつねに出あって、びっくりしたりわくわくしたりするお話が中心だから。
八十年たった今も、「わたし」は子ぎつねを待っているんじゃないかな。
――相川 美恵子(児童文学研究者)
「また、今度」そういって、次の約束をするのはごく自然なこと。
でも、それが当たり前でなくなるのが戦争です。
未来のささやかな約束が当たり前に叶う世界を守りたいと、切に願います。
――兼森 理恵(丸善丸の内本店 児童書担当)
少女と子ぎつねが結んだ友情と、果たせなかった約束が、赤い彼岸花が揺れるようにずっと心に残ります。
今こそ平和の願いと共に、子どもたちに手渡したい物語です。
――繁内 理恵(児童文学評論家)
戦争体験者ではない私たちの「戦争反対」は軽くて弱いのでしょうか。
いえいえ。
この可憐で懐かしい物語を読んで、子ぎつねと也子、そしてコウさんたちと出会った私たちの「NO WAR」は芯のある強いものになるはずです。
――西山 利佳(児童文学評論家)
【著者紹介】
★朽木 祥(クツキショウ)作/広島市出身。
被爆2世。
デビュー作『かはたれ』(福音館書店)で児童文芸新人賞、日本児童文学者協会新人賞ほか受賞。
『彼岸花はきつねのかんざし』(Gakken)で日本児童文芸家協会賞、『風の靴』(講談社)で産経児童出版文化賞、『光のうつしえ』(講談社)で小学館児童出版文化賞ほか受賞。
『あひるの手紙』(佼成出版社)で日本児童文学者協会賞受賞。
ほかに『八月の光 失われた声に耳をすませて』(小学館)など著書多数。
ヒロシマを描いた「たずねびと」が2020年より小学校教科書(光村図書)に採択されている。
近年では『光のうつしえ』が英訳(2025年、独語訳)刊行され、2023年にはアラブ首長国連邦、ドイツの児童書フェスティバルに日本の作家として初めて招聘されるなど、海外での評価も高まっている。
★ささめや ゆき(ササメヤ ユキ)絵/東京都出身。
1985年、ベルギー・ドメルホフ国際版画コンクールで銀賞。
『ガドルフの百合』(偕成社)で小学館絵画賞、『真幸くあらば』で講談社出版文化賞さしえ賞、『あしたうちにねこがくるの』(共に講談社)で日本絵本賞、『彼岸花はきつねのかんざし』(Gakken)で赤い鳥さし絵賞を受賞。
その他の作品に『椅子―しあわせの分量』(BL出版)、『ねこのチャッピー』(小峰書店)、『あるひ あるとき』(のら書店)、『あひるの手紙』(佼成出版社)など、多くの絵本・画集・挿絵を手がける。
エッセイ集に『十四分の一の月』(幻戯書房)などがある。