サステナブル・イノベーションズは、企業の事業状況分析(以下、個別ケース)に基づき、(1) 顧客インサイトを抽出して、(2) バリュー・プロポジション(価値提案)を生成し、(3) 更なる検討領域の深掘り に至るまでの一連の思考プロセスを支援する「インサイトドリブン型価値提案リコメンドシステム」を開発しました。
サステナブル・イノベーションズ「インサイトドリブン型価値提案リコメンドシステム」
サステナブル・イノベーションズは、企業の事業状況分析(以下、個別ケース)に基づき、(1) 顧客インサイトを抽出して、(2) バリュー・プロポジション(価値提案)を生成し、(3) 更なる検討領域の深掘り に至るまでの一連の思考プロセスを支援する「インサイトドリブン型価値提案リコメンドシステム」を開発。
■「インサイトドリブン型価値提案リコメンドシステム」の概要
同社の新システムは、顧客インサイトについて独自に開発した普遍的なメタデータを学習させたAIシステムであり、個別のケースに秘められた顧客インサイトをあぶり出し、バリュー・プロポジションを創出するリコメンデーションシステムです。
※「インサイトドリブン型価値提案リコメンドシステム」の詳細につきましてはこちらをご参照下さい
■「ダイナミック・アブダクション」とは
このシステムを実現可能にしたのが、同社が独自に技術開発した「ダイナミック・アブダクション」という新たな思考の仕組みです。
■人間の「限定合理性の下での予定調和」を超えるために
従来の顧客経験価値やバリュー・プロポジションの設計は、どうしても既知の枠組みや人間の経験知に依存せざるを得ず、どれほど優秀な戦略コンサルタントであっても「限定合理性の下での予定調和」を超えたバリュー・プロポジションを生み出すことは困難でした。
真に独創的なバリュー・プロポジションを生成するには、発想の転回が必要であり、非連続的な視座が必要となるのです。
■そもそも、何故、インサイトであり、アブダクションなのか
アブダクションとは、観察された事象に対して「最もありそうな仮説」を導く推論様式であり、演繹や帰納とは異なり、「未知の状況に対して、それを説明しうるもっともらしい前提を仮に置く」という思考方法です。
例えば、このところ異常気象が増えています。
直観的(非言語思考的)には、これは気候変動によるものであり、それは地球温暖化が原因で、排出した温暖化ガスが引き起こしている。
だから、脱炭素化への取り組みが必要だといった具合です(逆行推論ともいわれます)。
そもそも、未知の状況には「限定合理性」「予定調和」という発想はありません。
インサイトはアブダクションによって直観的に心の奥底で導き出された思考の結果であるともいえます(直観過程に親和性がある)。
それゆえ、真に独創的なバリュー・プロポジションを生成するには、「限定合理性」「予定調和」の枠を取り去ったインサイトに遡って発想を転回することが近道であるといえるのです。
■「ダイナミック・アブダクション」の仕組み
同社が構築したAIの学習データは、MECEを意図して構造設計した顧客インサイトに関するメタフレームワークです。
事前に知識間にネットワークが構築されている訳ではなく(予定調和ではなく)、個別のケースを出発点としてメタフレームワークを紐づけて、動的に知識ネットワークが自動生成されます。
そして、そこから言語で表現されたバリュー・プロポジションを創出します。
この紐づけと創出(文章化)の過程では、生成AI(具体的にはChatGPT 4o)を活用しています。
ダイナミック・アブダクションの仕組み
なお、同社では、上図にある「顧客インサイト」「消費者インサイト」を以下のように定義して区別して用いています。
・顧客インサイト:顧客自身の心の内に隠されている叶えたいことであり、顧客自身が抱いている「在りたい姿」「在り様」「在って欲しい姿」として描かれます。
・消費者インサイト:顧客インサイトを叶えるべくバリュー・プロポジションをする「企業の視点から捉えた顧客インサイト」へのインサイトであり、現在の在り様からアブダクティブに描いた未来に向けての在るべき姿(モデル)として描かれます。
[顧客インサイト×消費者インサイト]の複合分析 → バリュー・プロポジションの深掘り → 戦略の構想
※ダイナミック・アブダクションについてはこちらをご参照下さい
ダイナミック・アブダクション というコンセプト
https://www.clem.co.jp/future/history-to-future-column-319
■「インサイトドリブン型価値提案リコメンドシステム」の特長
今、社会では、脱炭素化、環境負荷、多様性の包摂、DEI(Diversity, Equity, and Inclusion)、コンプライアンスなど、起きていることや求められていることに対する解(ソリューション)ばかりに焦点が当てられています。
しかし、そういった解決法(方法論)からの議論ではなく、本来、その目的から考えることが必要です。
インサイトは、私たちの心の奥底で繰り広げられる思考であり、生きていく目的や人生観に依存した叶えたい願いでもあります。
心の奥底にある叶えたい願いに駆られて行動するのは、動機づけによる行動の本質でもあります。
「インサイトドリブン型価値提案リコメンドシステム」は、この人間の行動の根元にある本質に立ち戻って、バリュー・プロポジションを導き出す仕組みです。
また、インサイトは「こうありたいという叶えたいこと」からの思考ですから、アブダクション(逆行思考)に近いものです。
しかし、「こうありたいという叶えたいこと」といっても、社会の趨勢、経済社会の動向、周囲の環境変化によっても動かされます。
「静的な仮説がすぐに陳腐化する世界」においては、変化を前提に、絶えず仮説を再生成し、知的構想を再編集する能力です。
「ダイナミック・アブダクション」は、まさにこの要請に応える仕組みであり、社会の多様な変化に応じて、新たな願望としてのインサイトを、絶えず再生成する思考の流動性そのものを実現化した知的アーキテクチャであるともいえます。
根元的なバリュー・プロポジション導出プロセス
■「インサイトドリブン型価値提案リコメンドシステム」のメリット
同社は、刻々と変化する状況に反応して動かされるデータドリブン経営の仕組みではなく、その前提となる、より根元的なインサイトドリブン経営の重要性に着目しました。
これにより、データの背後にある心の奥底で叶えたい願いを理解し、より的確なバリュー・プロポジションが可能となります。
この結果として、当システムを活用した同社のコンサルティングサービスを導入した企業は、以下のメリットを享受することができます。
1. 迅速な価値提案:市場の変化、顧客インサイトを即座に捉え、適切なバリュー・プロポジションを立案できます。
2. 競争優位性の確立:他社に先駆けた価値提案で市場をリードし、他社に真似のできない希少性を先んじて確立することができます。
3. リスク管理の強化:不確実性の高い状況下でも柔軟な対応が可能となります。