2022年末、ディズニープラス スター日本発オリジナルシリーズとして実写ドラマ化された戦慄のヴィレッジ・サイコスリラー超大作『ガンニバル』
累計発行部数400万部を超える二宮正明が放つ衝撃のサスペンスコミック「ガンニバル」を、日本を代表するキャスト・スタッフが集結し実写化。
そんな『ガンニバル』の物語がついに完結へと向かう、シーズン2が配信中!
期待と注目を集める本作の魅力を、プロデューサーをつとめた山本晃久(やまもと・てるひさ)さん、脚本を担当された大江崇允(おおえ・たかまさ)さんのお二人にうかがいました。
ディズニープラス オリジナルドラマシリーズ『ガンニバル』シーズン2/プロデューサー・山本晃久&脚本・大江崇允インタビュー
ーーー『ガンニバル』は日本発のオリジナル実写作品の中で初めてシーズン継続が決定した作品で、日本のオリジナルコンテンツを牽引する、いわば代表作。
『ガンニバル』シーズン1の配信後、お二人の元にどのような反響・感想が届きましたか?
山本晃久さん:
僕は韓国、台湾、香港の人たちと交流があるんですけど、たまたまお会いした人から「ガンニバル見てるよ!シーズン2はいつなの?」と聞かれることが多く、これは結構見てもらえているなという実感はありましたね。
釜山国際映画祭で柳楽優弥さんが登壇し賞をいただいたときも、いろんな人たちが、「ガンニバルの大悟だ!」と言っている様子をみて、すごく嬉しく感じました。
大江崇允さん:
山本さんと同じように、共通の知り合いから反響を聞ける機会がありました。
あと、珍しく父親が「続きはいつだ」と言っていて、シーズン2の配信を楽しみにしているようでしたね。
―――今回のシーズン2はシーズン1を超える「18+」というレーティングになっています。配信だから可能になった演出もあるのでしょうか
山本晃久さん:
あります!・・・とはいっても、できるだけ多くのみなさんに見てもらいたいので、編集も含めて配慮はしたんですけど、『ガンニバル』はどうしてもそういう物語なので・・・というところはあります。
シーズン1ではそこまで凄惨に描かなかったというところもあるのですが、シーズン2では“儀式”のシーンは避けては通れない。
物語のクライマックスなので、絶対に地上波ではできないなっていう表現は多々ありますね。
―――本作と言えばホラー・サスペンス・スリラーという印象がありますが、“怖さ”が苦手な方に『ガンニバル』をおすすめするなら、どのようなところが見どころになるでしょうか?
山本晃久さん:
例えば、自分が全く知らない未知の共同体に入っていくという体験はおそらく誰もが経験したことがあると思うんです。
対象や経緯も含めて千差万別ですが、簡単にいうと“就職”がそのひとつに挙げられるかと思います。
「全然知らない会社にこれから入るぞ、どういう人がいるんだろう。」
そういう未知のものに触れて分け行っていく体感・体験みたいなものを、柳楽優弥さん演じる主人公・阿川大悟を通して、体験できるっていうのが入口としては広いと思っています。
阿川大悟の物語は、その彼の戦いっぷりが、暴力性は伴いながらも、それをそう言って欲しかった、やって欲しかったみたいなことをやってくれるので、こちらの胸がすく思いがあると思いますね。
おどろおどろしい物語ではなく、阿川大悟の物語として寄り添ってみると、見えてくるところや楽しめるところがたくさんあるのかなと思います。
大江崇允さん:
僕は結局これはラブ・ストーリーだと思っていて。
恋愛の意味ではなくて、人間愛のほうです。
自分自身が守りたいものがあるのに、自分の愛情が相手の憎しみに変わる。
自分は愛情でプラスの感情のはずなのに、横の人から見るとすごく忌むべきものになる。
人を好きになる、大事に守りたいと思う行為が、実は人と人の軋轢を生む原因になってる可能性もあるっていう。
僕はそういう意図で物語に一本の線を引いたので、こういった角度で僕はずっと、この、ちょっと激しいドラマを描いてみました。
――なるほど。ポジティブなメッセージ性が含まれていると。
大江崇允さん:
僕は脚本を書きながら、人と人は、わかり合う以外のわかり合い方があるんじゃないかなっていう、その辺りをずっと考えていました。
感情移入をすることだけが“理解し合う”って感情ではなくて、それ以外の理解の仕方が人間にはきっとある。
むしろそれがないと、これからの時代はわかり合えなくなっちゃうんじゃないかなっていう気持ちがあって、そういう願いを込めました。
僕は『ガンニバル』は希望の物語だと解釈しました。
山本晃久さん:
これは僕も全く異論ないです。
―――最近では『SHOGUN 将軍』の成功のひとつに、オーセンティックな、本物志向の作品づくりというキーワードがあります。
『ガンニバル』シリーズにおいてここは本物を追い求めた、というこだわりはありますか?
山本晃久さん:
片山慎三監督を初めとして、集ったスタッフはみんな「供花村」を実在の集落のように感じてほしいという思いを持っています。
後藤家っていう人たちが日本のどこかにいるんじゃないか、みたいなことも一緒に考え抜いてくれました。
例えば供花村がどこにあるのかっていう設定からはじめて、“儀式”のあり方だったり、後藤家っていうものの集団のありようが、本当にそこにいるようにこだわって作ったっていうのはありますね。
表現を曲げないというか、逃げないというか。
あとは柳楽優弥さんや笠松将さんをはじめとした演者の迫真性を引き出すというか、むしろその演者が率先してそのキャラクターとして“生きてくれる”ということに頼ったもの作りであった。
それはそれで『SHOGUN 将軍』ですとか、あるいは世界的に見られる作品全てに言えることだと思うんですけど、俳優たちのお芝居のしやすい環境というか、お芝居がきわまってくれる瞬間っていうのを撮り続けられるように、脚本の段階での作り込みであったり、片山監督始め演出家たちの努力だったり、俳優さんたちの努力でもあるのかなと思いますね。
大江崇允さん:
残虐さとか、暴力とか、ホラーとか、そういうものを際立たせるための作品作りとしての俳優がいるんじゃなくて、その個々のキャラクターに根付いた物語を作っていきました。
だから僕は人間ドラマの方に力を入れたし、多分山本さんもそうだったんじゃないかなと思います。
『ガンニバル』で大切なのは人間側のドラマであって、人間側がちゃんとしているからアクションシーンなり、ホラーシーンが際立つ。
この素晴らしい原作漫画を書かれた二宮さんもそこは絶対同じだと信じて、脚本を担当する者として大切にしました。
―――柳楽優弥さんは先日シンガポールで行われた「ディズニー・コンテンツ・ショーケース APAC 2024」で「J-Drama, New era it's coming!」と力強いコメントをしてくださいました。
シーズン2を楽しみにしてくださっているみなさんにメッセージをお願いします。
山本晃久さん:
長らくお待たせしてしまって申し訳ありません!
『ガンニバル』シーズン1をご覧になっている方もそうじゃない方も、シーズン2が出るってことはこれはもう、物語が完結するということです。
ぜひ『ガンニバル』という作品を通して自分の価値観や自分の今立っている場所みたいなものを思う存分揺さぶられていただいて、楽しんでいただければと思います。
ぜひご覧ください。
大江崇允さん:
僕は『ガンニバル』の脚本を通して、普遍的な人間の業みたいなことについて考える時間をいただいたような気がします。
ご覧になった方が、すぐ横にいる人間や、また、苦手だと思っている人間に対して、何か今までとは違う別の感情を持ったりする瞬間があったら嬉しいな、なんて思ったりしてます。
ぜひ完結を見届けてください。
『ガンニバル』の物語がついに完結となる、シーズン2。
ディズニープラスで独占配信中です。
『ガンニバル』シーズン2 作品概要
原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
監督:片山慎三、佐野隆英、大庭巧睦
脚本:大江崇允、廣原暁
プロデューサー:山本晃久、半田健
出演:柳楽優弥、笠松将、吉岡里帆、高杉真宙、北香那、杉田雷麟、山下リオ、田中俊介、志水心音、吉原光夫、中島歩、岩瀬 亮、松浦祐也、永田崇人、ジン・デヨン、六角精児、恒松祐里、倉悠貴、福島リラ、谷中敦、テイ龍進、豊原功補、矢柴俊博、河井青葉、赤堀雅秋、二階堂智、大鷹明良、利重剛、中村梅雀、橋爪功、倍賞美津子
取材・編集:あずさゆみ(Dtimes.jp)
WebメディアDtimes.jpディレクター/フリージャーナリスト
かわいいもの、おいしいものが大好き。フリーライター、フォトグラファーとしても活動中。
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