フジテレビ系「ポップUP!」水曜隔週レギュラーや、テレビ朝日系『相棒 season21』初回SP&第2話クリス・ガルシア役などテレビでの活躍の場を広げているトラウデン都仁(とらうでん・とに)さん。
NHK連続テレビ小説「舞い上がれ!」では「なにわバードマン」のメンバーのひとり佐伯功役として出演し、注目を集めています。
今回は、そんなトラウデン都仁さんにインタビュー。
朝ドラ出演が決まった際の心境や、佐伯との共通点、役作りへの姿勢などお話をうがかいました。
トラウデン都仁さん インタビュー
ーー 最近はドラマ・バラエティーと活躍の場をどんどん広げていますね。
NHK連続テレビ小説「舞い上がれ!」に「なにわバードマン」のメンバーのひとり、佐伯功役として出演された際にはSNSなどで「トラウデン直美さんの弟さんかな?」などと話題になりました。朝ドラ出演が決まった際の心境を教えてください。
トラウデン都仁さん:
朝ドラは役者にとって憧れの象徴なので、ものすごい喜びを感じました。
でもその後すぐに「どんな人たちがいるんだろう?」っていうのがとても楽しみになってしまって。
共演者様はもちろんなんですけど、以前にNHK土曜ドラマ『わげもん〜長崎通訳異聞〜』でご一緒したスタッフの方々に会えるっていうのも嬉しいですし。
朝ドラは個性の強い役柄のキャラクターも多いので、作品の中の人物との出会いっていうのはやっぱり楽しみ。
嬉しいよりも、もう楽しみっていう気持ちでいっぱいになりました。
ーー 佐伯はトラウデン都仁さんと同じ大学生ですが、共通するところや似ている部分はありますか?
トラウデン都仁さん:
佐伯功は、主人公が大学時代に入る人力飛行機サークル「なにわバードマン」の2年生のひとりなんですけど、個性あふれるメンバーの中では常識派。
真面目な部分が強くて、心配性なんです。
みんなに頼られながらも、いろいろ考えては「もうあかん!」と時折ネガティブになってしまうキャラクター。
僕も結構いろんなものに対して愛やこだわりが強いので、佐伯の飛行機への想いを僕の中での違うものに置き換えたら、役のイメージがすっと入ってきました。
佐伯と似ているところが多いなと感じる一方で、僕はどんなことでもどんなに悲惨な状況でもプラスに、ポジティブに考えて絶対に自分のパフォーマンスが落ちないように考えていたりするのでそこは佐伯とは正反対。
そこは演じる上で結構考えた部分ではありましたね。
ーー 自分のパフォーマンスを保つための秘訣があれば教えてください
トラウデン都仁さん:
秘訣ですか。これはもうあまり声を大きくするのもかっこ悪いですけど・・・
考えることがいっぱいすぎて大変になって、自分が保てなくなるって思ったら、「深く考えない」こと。
一旦落ち着いて、全部忘れて深呼吸して、その問題から自分を離す。
問題から距離を置いて、気持ちを落ち着かせることで見えてくるものもあります。
ーー ドラマではテレビ朝日系『相棒season21』に出演されたことも記憶に新しいです。
日本語をほとんど話さず、そして複雑な心境を抱えているというのは難しい役どころだったのではないでしょうか?
トラウデン都仁さん:
舞台では英語劇をよくやっていたので役を演じる上で日本語を喋らないっていうのは何とか大丈夫だったんですけど、役柄として口数が多いタイプの役ではなくて、自分とは遠いキャラクターでした。
そうなってくるとしっかり役作りをして挑みたいと思い、クリス・ガルシアとはどういう人物なのかを分析していきました。
まず台本からわかることとして、サルウィンという国の愛国者で、国のことを大事にしている、強靭な精神力を持った一貫性のあるキャラ。
そういうところに目をつけて、人間として一貫性を保つためにはどういう心理が働いているのかなと考えました。
何が彼をそうさせるのかというバックグラウンドを考えながら、一つ一つ性格を構成してきましたね。
ーー 役作りの姿勢はいま大学で心理学を学ばれていることとリンクしていそうです。
トラウデン都仁さん:
自分から遠ければ遠いほど演じていて楽しいというのが一つ確実にあったと思っています。
芸能界では「トラウデン都仁」という自分個人をそのまま表現することも大事だと思うんですけど、自分と遠い役を演じると、自分の知らない面に気づいたり、人についての考え方が変わっていくきっかけにもなります。
そうしていくと、日常の中でも、その人は今こう考えてるんじゃないないかなって、考えを読むってことじゃなくてその人がどういう人物なのかというところに目を向けられるようになっていくので。
実はそれがずっと続いてたのでいま心理学を大学で学んでいる、舞台をやってきてたから心理学に結びついたというところが大きいですね。
ひとつは先程の、“人間”というものへの理解について。
自分が演じる上でその役について考えることで、そこから自分を見つめ直して自分も成長させていくことが大事だと思っています。
もう一つは僕は“表現”という点においても心理学を用いたいと思っていて。
舞台でお客さんを楽しませてお客さんたちから拍手をいただきコミュニケーションが成り立っていると思うんですけど、そこで終わらせたくないなと。
劇場を出た後に、僕たちの表現からなにかを持って帰ってもらって、それを人生の強みにしてもらったりとか、なにかしらの形で人生を豊かにしたり、充実感を与えられることができないかなと思って、そのヒントを求めて勉強してるいる部分もあります。
たとえば、自分を見つめるっていうのは難しいじゃないですか。
自分を客観的に見るために舞台上で役者が演じてる役に自分を投影してもらうのも方法のひとつだと考えていて、自分と似てる部分があればそこを投影して、遠くから自分を見てそこから自分について理解してもらうことができそうで、何かできないかなって思いますね。
ーー 昔から舞台役者や芸能界を目指していたんですか?
トラウデン都仁さん:
9歳のときに劇団に入ったんですが、その理由が「ダンスが好きだったから」なんですね。
僕が小1とか小2の運動会でハキハキ踊っている姿を母親が見ていて、「ダンスをやってみたら?」と。
近くの劇団がダンススクールを開くというので応募して、入ってからは小3から小6までずっとダンスをやっていました。
一応レッスンのカリキュラムとして歌があったものの、ダンスのことしか考えていなくて、ミュージカルや舞台を目指すということは考えていませんでした。
中学一年生の時に、ドイツ発祥でゆかりがあるということで両親に連れられて『ダンス・オブ・ヴァンパイア』というミュージカルを観て、そこからこのミュージカルの世界が始まりました。
まずこの『ダンス・オブ・ヴァンパイア』は、当時13歳の僕からしても衝撃でおかしかったのですが、あんなに楽しくて、素晴らしい表現もあって、そして僕の大好きなダンスもあるわけで。
僕はここにいるべきなんじゃないか、ここに行きたいな自分はって思って。
始まりはそこからでした。
ーー フジテレビ系「ポップUP!」では3時間の生放送という枠で、コメントやリアクションなど瞬発力が求められそうです。
舞台の経験が役に立っていると感じる場面もありますか?
トラウデン都仁さん:
生放送という形式自体は舞台をやっていたのでライブという点で慣れはありました。
形式に対する不安は全くなかったんですけど、舞台と生放送に求められる臨機応変さが違います。
舞台ではトラブルが起きた際にどう行動でカバーするかというところが求められますが、生放送はとっさに頭を使って言葉を紡がないといけないところがあるので、そこはすごく大変だなと思います。
台本もある程度はありますが、そこは生放送なので、突然思ってもみなかった話題を振られた際にちゃんと対応できるかという不安はあります。
その中で、ご一緒させていただいてるレギュラーメンバーのみなさんは、家族なのかなと思うぐらい暖かくて安心します。
特にMCのおぎやはぎさんは空気作るのがうまくて、困ったときはもうおぎやはぎさんが絶対カバーしてくれるっていう絶対的な信頼を置いてるので、そこは生放送でものびのびとやれている要因の一つだと思っています。
ーー どんどん活躍の場を広げていますが、これからどんなことに挑戦してみたいですか?
トラウデン都仁さん:
最近はいろいろなお仕事をさせていただいていますが、まだまだ役者、ドラマをやりたいなって思いが強くて。
今こんなに出させていただいていますけど、テレビのお仕事を始めてからまだ2年目なので、まだやりたいことが多い・・というか、まだやっていないことのほうが多い。
いまはほかの何かに挑戦するという段階ではなく、とりあえずできることからやっていきたいっていうところが大きいですね。
やってみたい事でいうと、いろいろと視野を広げられること・・と漠然としたことになるんですけど、自分の知らない世界を知られることだったら、どこかの国に行ったり、誰かの話を聞いたり、何かしらその自分の刺激になりつつ、その刺激を見ている人たちに伝えれるような活動をしていきたいなと思います。
トラウデン都仁さん:
あと、これはお仕事とは全然関係のないことなのですが、今年の頭にイラストを描き始めたんですね。
小学生のときに油絵をちょっと習っていたんですけど、絵を描きたいなって急に創作意欲があふれ出してきたんですよ。
東京に住んで環境が変わり、大学で新しい人たちに出会って一人暮らしを始めて、1年たって何か作りたいっていう気持ちになって。
ちょっと恥ずかしい話なのですが、9歳の頃に自分で考えたお気に入りのキャラクターがいるんです。
9歳の頃から10年間考えてきた自分の物語やキャラクターたちに、ちゃんと見た目(ビジュアル)を作るためにイラストを書いて、彼らをまず可視化させてあげたい。
そして、その世界観を何か象徴できるような音楽を作りたくて、ピアノを買いました。
物語をちゃんと文字に起こしたいっていうところもありますね。
これは僕がずっとしてきたことを何かしら作品に昇華したいなという、僕の今の趣味の面での夢のひとつです。
舞台からスタートし、現在はテレビを中心にドラマ・バラエティーと活躍の場を広げているトラウデン都仁さん。
インタビュー取材の間、終始豊かな表情でご自身の思いや情熱をお話してくださったのが印象的でした。
これからの活躍に注目です。