記事ポイント
- 「ウッドデザイン賞2026」ハートフルデザイン部門を受賞
- 推定築年数150年の旧醤油蔵の古材を再生
- 年間来場者数は8万人に到達
菊水酒造(新潟県新発田市)の発酵をテーマにした体験型施設「KIKUSUI蔵GARDEN」が、日本ウッドデザイン協会主催の「ウッドデザイン賞2026」を受賞しました。
受賞はグッドデザイン賞に続くもので、「ハートフルデザイン部門」で、木を活かして心身を健やかにし、リラックスやWell-beingを実現する空間として評価されました。
推定築年数150年の旧醤油蔵の古材と敷地林の木々を活かした木造空間で、ショップ、カフェ、ラボ、ギャラリーを備えています。
菊水酒造 KIKUSUI蔵GARDEN ウッドデザイン賞2026
- 施設名:KIKUSUI蔵GARDEN(キクスイクラガーデン)
- 受賞:ウッドデザイン賞2026 ハートフルデザイン部門(建築・空間分野)
- 主催:日本ウッドデザイン協会
- 受賞団体:菊水酒造、梶浦暁建築設計事務所、山田憲明構造設計事務所、伊藤組、長濱香代子庭園設計
- 所在地:〒957-0011 新潟県新発田市島潟750
- ラボ・ショップ営業時間:9:30 – 16:30(定休日:月曜。祝日の場合は営業し翌日休み)
- カフェ営業時間:平日11:00 – 16:00(L.O.15:30)、土日祝10:00 – 16:00(L.O.15:30)。定休日:月曜(祝日の場合は営業し翌日休み)、月1回火曜定休
「KIKUSUI蔵GARDEN」は、菊水酒造の敷地内に誕生した「発酵」をテーマにした商業施設です。
建物にはラボ・ショップ・カフェ・ギャラリーを備え、周囲の庭、豊かな自然、日本庭園、日本酒文化研究所が散策路でつながっています。
2025年4月のオープンから1年余りで年間来場者数は8万人に達し、地域内外から多くの人が訪れる「発酵の体験型拠点」となっています。

施設の名称は「KIKUSUI蔵GARDEN(キクスイクラガーデン)」です。

ウッドデザイン賞は、木を使って様々な社会課題を解決するモノ・コトを表彰し、国内外に発信する顕彰制度です。
2026年は2022年の日本ウッドデザイン協会主催アワードとしての開催以降で最多の応募数となり、木材利用の先進的なデザインを持つ作品235点が受賞しました。

「KIKUSUI蔵GARDEN」は建築・空間分野での受賞で、推定築年数150年の醤油蔵の古材と、新施設の建設で伐採した敷地林の木々を活かし、酒蔵の歴史と発酵の営みを取り入れた木造商業空間として評価されました。

今回の受賞に先立ち、グッドデザイン賞2026年度も受賞しています。
145年の歴史を繋ぐ唯一無二の木造空間

施設の中心となる建物には、菊水酒造の創業にゆかりのある明治時代の旧醤油蔵の木材が使われています。
天井を見上げると、長い年月を経た趣のある木材と新しい木材が組み合わさり、ひとつの建物を支える姿を見られます。
旧醤油蔵の移築再生プロジェクト
旧醤油蔵は、菊水酒造を創業当時から見守ってきた建物です。
推定築年数150年の旧醤油蔵

菊水酒造の創業は1881年で、初代節五郎が醤油蔵を営む本家から「酒造免許」を譲り受けて始まりました。
醤油蔵は老朽化で解体が決まったものの、貴重な文化財として次世代に継承したいという五代目当主の強い想いがありました。
旧醤油蔵の大空間

古い部材を現代の建築に活用するため、実測調査を行い、蔵人の痕跡を探りながら建築的特徴を読み解きました。
6尺の大桶が並ぶこの空間では、醤油の仕込みが行われていました。
棟梁と大工の手で行った解体

明治から建材として活き続けてきた梁や柱を養生し、棟梁と大工が手作業で丁寧に解体しました。
それぞれの構造部材には番付を行い、保管庫で10年間古材を守り続けました。
古材の強度調査・仮組からの設計

保管された木材は、名古屋大学 生命農学研究科の山﨑真理子教授による強度試験を経て、新たな建築のメイン空間の構造材として再び活かされました。

設計段階では仮組みを行い、模型を用いた協議を重ねながら、古木材と新木材を取り入れた設計図が創り上げられました。

棟木と垂木には古木材が使われ、組み上げられました。
明治の木造建築がもつ力強い空間

趣のある木の表情を活かすため、古材は人の手で磨かれ、保護塗装を施して再び構造材になりました。
新材と古材が支えあうハイブリッド架構がダイナミックなデザインを生み、明治から呼吸し続ける木々による大空間が完成しました。
新施設の建設時に伐採した木々は造作家具へ

新施設の建設にあたり敷地林から伐採された木々は、挽き板にして造作家具に活用されました。

ケヤキの木はカフェ客席カウンターの一部や屋外ベンチに、サクラの木とクルミの木はショップの陳列什器になり、この地で活き続けています。

サクラの木はショップの陳列什器として活用されています。
受賞を励みに、この地で呼吸し続けた木々とともに、発酵を通じた様々な体験や発見を提供し、進化し続けるとしています。
KIKUSUI蔵GARDENの空間

入口では、創業期を知る古材を継承した建物と散策空間が広がり、蔵の歴史を語り継ぎます。

カフェは枯山水庭園への没入感を高めた設計で、四季折々の景色を楽しみながら発酵を取り入れたメニューを堪能できます。

ショップでは太い梁や柱が現代のデザインと融合し、木の香りと歴史の重みを感じながら限定酒やオリジナル商品を選べます。

ラボには伝統の枡をモチーフにした可動式家具が並び、発酵を五感で楽しむ体験型ワークショップをこどもも大人も一緒に楽しめます。
発酵を五感でたのしむイベント・ワークショップ

「Discovery」をキーワードに、日本酒の枠をこえて発酵にまつわる様々な体験が計画されており、発酵がもたらす気づきや学び、ここちよさ、おもしろさを味わえます。
酒粕や麹を使った料理体験や味覚体験、パンやコーヒーなど身近な発酵食品をテーマにしたワークショップを開催しています。

和菓子づくりや米ぬかを活用したカイロづくり、日本酒ペアリングイベント(20歳以上限定)など、多彩なプログラムを子どもも大人も楽しめます。

ここに集う人々との繋がりや交流で生まれる嬉しい変化も発酵と捉え、酒米の田植えや稲刈りなどのイベントを開催しています。

蔵人と一緒に酒造りを五感で体験する「蔵人体験プログラム」も用意されています。

全国の「菊水ふなぐち」ファンが集う「ふなぐちまつり」では、2026年に全国から300人が訪れました。
KIKUSUI蔵GARDENは、推定築年数150年の醤油蔵の古材と敷地の木々を受け継いだ木造空間で、発酵を五感で味わえる体験型施設です。
ショップ、カフェ、ラボ、庭を巡りながら、酒蔵の歴史と木の力を感じられます。









