記事ポイント
- 1937年に『オールド・ミル』で初使用
- 現存3台のうち1台がディズニーランド・パリに保存
- 『白雪姫』『バンビ』などの奥行き表現を支えた
ディズニーランド・パリが、ウォルト・ディズニー・スタジオの発明「マルチプレーンカメラ」を、国際アニメーション・デーにあわせて振り返りました。
1930年代半ばに開発されたこの装置は、アニメーションにかつてない奥行きと立体感をもたらし、現存する3台のうち1台がディズニーランド・パリに保存されています。
ディズニーランド・パリ「マルチプレーンカメラ」
- 発表日:2026年10月28日
- 発表元:ディズニーランド・パリ
- 初使用:1937年 短編映画『オールド・ミル』
- 現存台数:3台
- 保存場所:ディズニーランド・パリ、アメリカ・カリフォルニア州バーバンクのウォルト・ディズニー・アーカイブス、サンフランシスコのウォルト・ディズニー・ファミリー・ミュージアム
マルチプレーンカメラは、絵が描かれたガラスなどの層を重ね、奥行きのある映像を撮影するために開発された装置です。
当時のアニメーションのキャラクターは、主に平面的な背景の上を動いていました。
ウォルト・ディズニーは、画面により大きな奥行きとリアリティを加え、観客が物語により深く入り込める表現を目指しました。
その狙いに応えるため、ウォルト・ディズニー・スタジオの技術チームが、この革新的な装置を開発しました。

『オールド・ミル』は短編映画『シリー・シンフォニー』シリーズの作品で、1937年にマルチプレーンカメラが初めて使われました。
このカメラによって、従来のアニメーション技法では再現が非常に難しかった、または不可能だった動きを表現できるようになりました。
『オールド・ミル』は1938年にアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞しました。
同じ年、ウォルト・ディズニーとチームは、この発明によってアカデミーから技術功労賞も贈られました。
『オールド・ミル』での登場後、マルチプレーンカメラは『白雪姫』『ピノキオ』『ファンタジア』『バンビ』といったディズニーアニメーションの名作の世界を形作りました。
『ピノキオ』では、重なり合うジェペットの村の通りを通り抜けるような、印象的なカメラワークが生まれました。
『バンビ』の冒頭シーンは、マルチプレーン方式を使った代表的な例の1つです。
植物の層が次々に現れ、観客が木々の間を進んでいるかのような、奥行きのある森を作り出しています。
ウォルト・ディズニー・アーカイブスのスティーブン・ヴァニーニは、次のようにコメントしています。
マルチプレーンカメラの開発は、ディズニーのアーティストや技術者に、物語を発展させるための素晴らしい道具をもたらしました。
「それはアニメーションの世界に、観客がより深くつながれる、より大きな信憑性を加えました。」
「絵が描かれたガラスの層を、画面上で動き、立体的に見える環境へ変えることで、このカメラは、アニメーションの世界の中を実際に移動しているような印象を生み、観客を物語へさらに引き込みました。」
「アートとテクノロジーがこのように交わったことは、ディズニー・スタジオの創造の歩みにおける大きな転換点となりました。」
「カメラを保存することは、ディズニーアニメーションの可能性を広げた革新と芸術性に、実物を通して触れられるつながりを残すことなのです」
マルチプレーンカメラは徐々にデジタル技術へ置き換えられましたが、画像を重ねて奥行きを生み出す原理は、現代のアニメーション技法や映像効果にも影響を与え続けています。

ディズニーランド・パリには、ウォルト・ディズニー・スタジオにあった歴史的なマルチプレーンカメラのうち、現存する3台の1台が保存されています。
このカメラは、ディズニー・アドベンチャー・ワールドにあった旧アトラクション「アート・オブ・ディズニー・アニメーション」の一部としてリゾートにやって来ました。
この施設は2019年に「アニメーション・セレブレーション」へと変わりました。

撮影台にアニメーション画を置き、周囲の目盛りや調整部品、計器で位置を細かく合わせる構造です。
撮影台には『ロビン・フッド』の場面が置かれています。

円形の目盛りや歯車、調整用の機構も備え、層ごとの距離と動きを精密に制御する仕組みがうかがえます。
残る2台の歴史的なカメラは、アメリカ・カリフォルニア州バーバンクのウォルト・ディズニー・アーカイブスと、サンフランシスコのウォルト・ディズニー・ファミリー・ミュージアムに保存されています。
このアートと技術の遺産は、ディズニーランド・ホテルにも息づいています。

ホテルには、ディズニーアニメーション映画の象徴的なシーンを描いたジオラマが15点以上あり、マルチプレーンカメラの原理に敬意を表しています。
異なる要素を重ねることで、これらの展示は物語に命を吹き込むような表現を生み出しています。

ホテルの額装アートには、『眠れる森の美女』のドラゴンと騎士の場面や、動物たちを花や植物が囲む色鮮やかなジャングルの絵などがあります。
マルチプレーンカメラは、初めて使われてから90年近くが経った今も、没入感のある物語を届けるため創造性の限界に挑み続けたディズニーのアーティストと技術者の工夫と粘り強さを伝えています。
歴史的な1台が保存されるディズニーランド・パリと、原理に敬意を表したジオラマが並ぶディズニーランド・ホテルは、アニメーションの奥行きを生んだ発明の足跡を今に受け継いでいます。








