記事ポイント
- MASLDで線維化が進むほど血液中の補体C7が上昇
- C7が高い患者は将来の肝がん・肝硬変合併症リスクが高い
- 日本550人と英国4,486人のデータで関連を検証
信州大学医学部内科学第二教室の近藤翔平、木村岳史、岩垂隆諒、国際医学研究推進学教室の田中直樹らの研究グループが、米国・インドの研究機関との国際共同研究の成果を発表しました。
メタボ由来の脂肪肝(MASLD)で、血液中の補体C7が肝臓の線維化の程度や、その後の肝がん・肝硬変合併症のリスクと関連することを明らかにしました。
信州大学 血液中の補体C7によるMASLD進行リスク研究

- 研究主体:信州大学医学部内科学第二教室、国際医学研究推進学教室。米国・インドの研究機関と国際共同研究
- 対象疾患:メタボ由来の脂肪肝(MASLD)
- 掲載誌:JHEP Reports
- 論文タイトル:Integrative Multi-Omics Analysis Identifies Stellate Cell-Derived Complement Component 7 as a Predictor of Fibrosis and Liver-Related Events in MASLD Patients
- DOI:10.1016/j.jhepr.2026.101965
- 主な著者:近藤翔平、木村岳史、岩垂隆諒(3名は共同筆頭著者)、田中直樹
- 研究支援:日本医療研究開発機構(AMED:JP25fk0210125、JP26fk0210190、JP256f0137007)、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業(JP24K11087、JP25K19323、JP25K20541、24K18908)など
脂肪肝は、進行すると肝臓が硬くなる「線維化」が起こり、肝硬変や肝がんにつながることがあります。
肥満や糖尿病などに伴うMASLDは身近な病気ですが、進行しやすい患者さんを早い段階で見つけることは簡単ではありません。
そこで研究グループは、血液から病気の進行を見分ける手がかりを探しました。
肝生検を受けたMASLD患者430人を調べると、肝臓の線維化が進むほど血液中のC7が高くなることを確認しました。
血液中のC7が140μg/mL以上の患者さんでは、肝がんなどの肝関連イベントが多くみられました。
この関連は、別の日本人患者120人と英国の大規模データ4,486人でも検証されました。
肝臓の詳しい解析では、C7は線維化した部分に多いことが分かりました。
培養細胞でC7の働きを抑えると、線維化に関わる遺伝子の働きが低下しました。
C7は、採血によって肝臓の線維化と将来のリスクを評価するための候補となります。
用語として、補体C7は免疫に関わる「補体」と呼ばれるタンパク質の一つで、肝線維化は肝臓に傷が蓄積し徐々に硬くなることです。
よくある質問
Q. C7の検査はすでに診療で使えますか?
A. いいえ。
C7は現在は研究段階で、実際の診療で使うにはさらに検証が必要です。
Q. 肝関連イベントとは何を指しますか?
A. 本研究では、肝がん、肝性脳症、入院を要する腹水、治療を要する静脈瘤などを指します。
今回の研究は、脂肪肝の進行を採血で見分ける手がかりとしてC7を示しました。
ただし現在は研究段階で、実際の診療で使うにはさらに検証が必要です。








