荒瀬尚博士・胡桃坂仁志博士が受賞、副賞3,000万円!武田科学振興財団「武田医学賞」

荒瀬 尚 博士

記事ポイント

  • 荒瀬尚博士の受賞テーマは宿主-病原体相互作用に基づく疾患発症機構の解明です
  • 胡桃坂仁志博士の受賞テーマはクロマチン構造研究によるエピジェネティクス制御機構の解明です
  • 授賞式は2026年11月12日午後6時よりオークラ東京で開催されます

 

武田科学振興財団は、2026年度「武田医学賞」の受賞者を大阪大学教授の荒瀬尚博士と東京大学教授の胡桃坂仁志博士に決定しました。

授賞式は2026年11月12日午後6時よりオークラ東京で開催し、受賞者には賞状、賞牌、楯とともに1件につき3,000万円の副賞を贈呈します。

 

目次

武田科学振興財団「武田医学賞」

 

  • 授賞式日時:2026年11月12日(木)午後6時
  • 会場:オークラ東京
  • 副賞:賞状、賞牌、楯ならびに1件につき3,000万円
  • 創設年:1954年(本年度で72年目)
  • 受賞者数:本年度を含めて145名

 

武田医学賞は、我が国で最も伝統のある医学賞の一つであり、医学界で顕著な業績を挙げ、医学ならびに医療に優れた貢献を果たした研究者に授与されます。

武田科学振興財団は、2026年度の受賞者として荒瀬尚博士と胡桃坂仁志博士の2氏を決定しました。

 

荒瀬 尚 博士

 

荒瀬 尚 博士

 

  • 所属:大阪大学 教授(60歳)
  • 受賞テーマ:宿主―病原体相互作用に基づく疾患発症機構の解明

 

  • 日時:2011年 第14回 日本免疫学会賞
  • 日時:2013年 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)
  • 日時:2020年 第63回 野口英世記念医学賞
  • 日時:2021年 第58回 ベルツ賞
  • 日時:2023年 第4回 太田原豊一賞
  • 日時:2025年 持田記念学術賞

 

荒瀬尚博士は、1990年に北海道大学医学部を卒業し、2006年から大阪大学微生物病研究所教授、2007年からは大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授を務めています。

病原体に対する免疫応答や病原体に起因する免疫異常を解明するため、宿主―病原体相互作用に基づく免疫制御機構を長年にわたり一貫して研究してきました。

ウイルスやマラリア原虫など宿主に依存して増殖する病原体が宿主の免疫応答から逃避する機構や、これに対する宿主免疫の進化、病原体の自己免疫疾患発症への関与を明らかにしてきました。

エプスタイン・バーウイルスの再活性化などに伴うインバリアント鎖の発現低下により、MHCクラスII分子に通常は提示されない「ネオセルフ抗原」(正常な自己分子とは異なる抗原性を示す自己分子)が提示され得ることを見いだしました。

この発見から、ネオセルフ抗原の提示が自己免疫疾患の主要な発症要因となり得ることを提唱しました。

この成果は、T細胞がセルフとネオセルフを識別するという新たな免疫識別機構を示し、従来のセルフ-ノンセルフ(自己-非自己)の識別の概念を拡張するものです。

このネオセルフ認識機構は、自己免疫疾患の病態解明にとどまらず、免疫応答全般の理解にも大きな波及効果をもたらすことが期待されています。

 

胡桃坂 仁志 博士

 

胡桃坂 仁志 博士

 

  • 所属:東京大学 教授(59歳)
  • 受賞テーマ:クロマチン構造研究によるエピジェネティクス制御機構の解明と疾患研究への展開

 

  • 日時:2018年6月 日本生化学会 倶進会 柿内三郎記念賞
  • 日時:2020年11月 持田記念医学薬学振興財団 持田記念学術賞
  • 日時:2021年4月 文部科学省 文部科学大臣表彰科学技術賞
  • 日時:2023年3月 上原記念生命科学財団 上原賞
  • 日時:2025年3月 東レ科学振興会 東レ科学技術賞
  • 日時:2026年2月 島津科学技術振興財団 島津賞

 

胡桃坂仁志博士は、1995年に埼玉大学大学院で博士(学術)を取得し、2018年から東京大学定量生命科学研究所教授、2026年4月からは九州大学生体防御医学研究所教授を兼務しています。

ゲノムDNAのエピジェネティックな制御機構の解明を目指し、その基盤となるクロマチンの構造と機能に関する研究を推進してきました。

独自に確立したクロマチン再構成技術と構造生物学的手法を融合することにより、同研究分野を世界的に牽引してきました。

これまでに、染色体のセントロメア領域、構成的ヘテロクロマチン、転写制御領域などを特徴づける特殊なクロマチン基盤構造を明らかにしました。

クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析により、クロマチンを介した遺伝子転写、DNA損傷修復、DNA組換え、ならびに自然免疫関連分子の不活化など、多様な生命現象の制御機構を解明しました。

近年では、細胞由来のクロマチン複合体を直接可視化するChIP-CryoEM法を確立し、細胞核内に存在するクロマチン複合体の立体構造解析にも成功しています。

これらの成果は、クロマチンおよびエピゲノムの異常に起因するさまざまな疾患の発症機構の理解を前進させるとともに、新たな治療標的の同定や創薬研究のための基盤を提供するものです。

 

武田医学賞の受賞研究は、自己免疫疾患やエピゲノム疾患の解明に向けた新たな知見をもたらします。

荒瀬尚博士が見いだしたネオセルフ抗原の存在は、自己免疫疾患の発症機構の理解に新たな視点を加えます。

胡桃坂仁志博士が確立したChIP-CryoEM法は、細胞核内クロマチン構造の解明に向けた新たな手法として注目されます。

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