記事ポイント
- 世界初・胆汁を連続排泄できる肝細胞培養デバイスを三井化学が共同開発
- 胆汁排泄物を従来比13.7倍の高濃度で回収可能
- 酸素透過性プレート「InnoCell®」が高機能デバイス実現の基盤を担う
三井化学が東京大学・名古屋市立大学・金沢大学との共同研究により、体外で培養した肝細胞が生体と同様に胆汁を連続排泄できる世界初のデバイスを開発しています。
胆汁排泄物を従来比13.7倍という高濃度で回収でき、創薬研究や肝疾患メカニズムの解明に大きく貢献する技術となっています。
開発の核心を支えているのが、三井化学の酸素透過性細胞培養プレート「InnoCell®」です。
三井化学「InnoCell」

- 開発者: 三井化学・東京大学・名古屋市立大学・金沢大学(共同研究)
- 使用プレート: InnoCell®(三井化学の酸素透過性細胞培養プレート)
- 回収効率: 胆汁排泄物を従来比13.7倍の高濃度で回収
- 応用分野: 肝毒性評価・薬物相互作用予測・肝疾患メカニズム解明
肝臓は薬物代謝や有害物質の排泄を担う重要な臓器であり、「胆汁の生成・排泄」はその主要機能のひとつです。
しかし従来の体外評価系では、胆汁が毛細胆管に滞留しやすい構造的制約があり、生体と同様に胆汁が流れ続ける環境を再現することが困難です。
今回開発されたデバイスでは、肝細胞が生体と同じように胆汁を継続的に排泄できる微細流路構造が実現されています。
これにより細胞への負担を抑えながら胆汁排泄物を従来比13.7倍の高濃度で効率的に回収でき、胆汁代謝の時間依存的な変化を正確に捉えることも可能となっています。
InnoCell®が果たした3つの役割
デバイスの性能を最大化する上で中核を担っているのが、三井化学の酸素透過性細胞培養プレート「InnoCell®」です。
InnoCell®は独自素材により底面から肝細胞へ酸素を直接供給でき、従来プレートと比べてより本来の肝細胞に近い状態を維持できます。
この十分な酸素供給により、胆汁の通り道である毛細胆管の構造がより安定して形成されます。
研究チームは「InnoCell®がなければ胆汁排泄デバイスの性能は十分に発揮できなかった」とコメントしており、世界初技術の実現を支える基盤として機能しています。
InnoCell®の製品概要
- 特徴: 高酸素透過性・低自家蛍光・低薬剤吸着性
- 推奨用途: 肝細胞培養・オルガノイド/スフェロイド培養・毒性試験
- 研究実績: 培養肝細胞の極性再現に関する研究
三井化学は今後も国内外の大学・製薬企業と連携し、肝疾患研究・MPS(多臓器連結系)・オルガノイド創薬などの分野でInnoCell®を用いた研究基盤の提供を強化しています。
世界初の胆汁連続排泄型デバイスは、従来比13.7倍という圧倒的な回収効率で創薬研究の精度を大きく引き上げます。
InnoCell®による安定した酸素供給と毛細胆管形成の促進が、長期間にわたる胆汁代謝評価を初めて実現しています。
肝毒性評価から肝疾患メカニズムの解明まで、幅広い研究分野への波及効果が期待できる技術です。
三井化学「胆汁連続排泄型肝細胞培養デバイス」の紹介でした。
よくある質問
Q. 今回開発されたデバイスは従来の評価系と何が違うのですか?
A. 従来の体外評価系では胆汁が毛細胆管に滞留しやすく、生体と同様に胆汁を流し続ける環境の再現が困難です。今回のデバイスは微細流路構造により胆汁の連続排泄を実現しており、胆汁排泄物を従来比13.7倍の高濃度で回収できます。
Q. InnoCell®はこのデバイスでどのような役割を担っていますか?
A. InnoCell®は独自素材で底面から肝細胞へ酸素を供給し、胆汁の通り道となる毛細胆管の安定した形成を促進します。研究チームも「InnoCell®なしではデバイスの性能は十分に発揮できなかった」とコメントしており、世界初技術の実現を支える基盤として機能しています。
Q. このデバイスはどのような研究分野に応用できますか?
A. 肝毒性評価・薬物相互作用の予測・肝疾患メカニズムの解明など、幅広い肝臓研究への活用が期待されています。三井化学は今後も大学や製薬企業と連携し、オルガノイド創薬やMPS(多臓器連結系)分野でもInnoCell®を活用した研究基盤の提供を強化しています。