10年ぶりに新シーズンの放送が決定したディズニー・チャンネルの人気アニメ『フィニアスとファーブ』
そのクリエイター/製作総指揮であるダン・ポヴェンマイヤー氏とジェフ・スワンピー・マーシュ氏が作品についての質問をラウンドテーブルで回答。
シリーズ誕生の舞台裏と、家族への想い、世界中で愛され続ける理由が明かされました☆
『フィニアスとファーブ』クリエイター/製作総指揮が語る作品の魅力と誕生秘話
10年ぶりに新シーズンの放送が決定したディズニー・チャンネルの人気アニメ『フィニアスとファーブ』
シーズン5は発明好きのフィニアスとファーブの“104日間の新たな夏休み”が舞台となります。
今回は、クリエイター/製作総指揮であるダン・ポヴェンマイヤー氏とジェフ・スワンピー・マーシュ氏がラウンドテーブルで回答した、作品の魅力と誕生秘話を紹介します☆
ポジティブな世界観とコメディへのこだわり
Q: テレビには暗い話題が多い中、『フィニアスとファーブ』のようなポジティブな番組を作るのはどういう感覚ですか?
Dan Povenmire
最初の段階でこの番組の方向性を決めた際、ポジティブな作品にしたいと強く思っていました。
悪意を動機とするようなキャラクターは出さないというルールを作りました。
フィニアスとファーブが何かをごまかしたり隠したりすることもありません。
その分、コメディの難易度は高くなりました。
なぜなら、意地悪さや衝撃的・ネガティブなネタでコメディ要素を加えることは比較的簡単ですが、その要素を排除するのはライターにとって難しく、最初はすこし戸惑っていました。
ただ、より面白い作品を作るためにネガティブな要素に頼らず視聴者を笑わせることを目標にしたのです。
Jeff Swampy Marsh
この番組の脚本を書いたほぼ全員が「これまでで一番書くのが難しかった」と言っています。
でも同時に、一番やりがいがあり、楽しい仕事だったとも言っています。
簡単な解決策が使えない分、頭を使って工夫する必要がありました。
ディズニー・チャンネルの歴史を塗り替えた成功
Q: オーストラリアでの認知の話も出ましたが、『フィニアスとファーブ』が世界的に成功したことについて、お二人はどう感じていますか?予想していましたか?
Jeff Swampy Marsh
番組が初めて放送された際、Disney TV史上初めて世界同時に放送されました。
これは本当にすごいことで、ディズニーがこの番組にどれだけ期待してくれていたかがよく分かりました。
そのおかげで、世界中の地域で一気に注目が集ることになりました。
私はいろんな国を旅してきましたが、アメリカと同じくらい、いやそれ以上に人気がある場所があったことに驚かされました。
他の作品ではこういった体験はなかったので、例えば小さな田舎の村みたいなところに行って、熱心なファンと出会うのは本当に不思議な気分でした。
Dan Povenmire
最初のシーズン制作中は、毎日朝8時から夜11時まで働いてました。
当時の妻にこう言ったんです。
「もし本気で2シーズン目を目指すだけなら、毎日19時に帰ることもできるかもしれない。
でもそうじゃなくて、僕が狙ってるのはディズニー・チャンネルの視聴層そのものを変えることなんだ」と。
他局でも私は視聴層の変化を間近で見てきました。だから、それを狙うことが最終目標だと思ったんです。
そして放送開始からわずか3ヶ月で、実際に「視聴層が変わった」と書かれた記事が出ました。
想像以上の成功で、本当に嬉しかったです。
理想のディズニー番組と称されるまで
Q: お二人ともディズニーのレガシーを築いてこられた方々ですが、今あらためて『フィニアスとファーブ』が新世代に届いていることをどう感じていますか?
そして、過去のキャラクターで新作にゲスト出演させるなら誰を選びますか?
Jeff Swampy Marsh
開発の初期段階では、社内で「面白いけど、これはディズニー・チャンネル向きじゃない」と言う人もいました。
確かに他の番組とは全然違う雰囲気でしたからね。
でも放送から1年後には、「これぞ理想のディズニー番組」と評価されるようになって、すごく嬉しかったです。
私たちは最初から「これはディズニーらしい作品だ」「家族で一緒に観て楽しめる作品だ」と信じていたので、それが証明されたことは心から誇りに思っています。
ファンに愛される名セリフ
Q: オリジナル版の中で、今でもよく引用されるお気に入りのセリフや場面はありますか?
Dan Povenmire
やっぱり一番よく耳にするのは、
「If I had a nickel for every time I blank, I’d have two nickels! Which isn’t a lot, but it’s weird that it happened twice, right?」
っていうやつですね。これは最初の映画でドゥーフェンシュマーツが言ったセリフなんですけど、今やポップカルチャーの一部になっていて。
ある友人が大学の教授をしてるんですが、
「学生たちがこのセリフをよく使うけど、最近まで出どころがあなただとは知らなかった」
と連絡してきたんです(笑)。
民主党の公式TikTokにも使われたことがあって、ネットでも広まっていて本当に驚きです。
キャラクターデザイン誕生のきっかけ
Q: 新しく作品を視聴する人に向けて、フィニアスとファーブの独特な頭の形は、どうやって誕生したんですか?
Dan Povenmire
スワンピーと私は他の局の番組で一緒に脚本を書いていて、
一緒に仕事を継続できるために、自分たちで何か番組を作りたいね」と話していたんです。
いろんな案を出しました。ミーアキャットやオウムのコンビとか(笑)。
そんな中、ある夜レストランで子ども向けに紙とクレヨンが置かれていて、そこで三角形の頭を描いたんです。
「こんな形のキャラクターって見たことないな」と思って。
それがフィニアスの原型でした。すぐに「これがフィニアス。これはいつか売れる番組になるぞ」と宣言しました。
Jeff Swampy Marsh
1993年のことですね。
Dan Povenmire
その夜にペリー、ファーブ、ドゥーフェンシュマーツも描いて、翌日仕事に持っていって、番組の世界観を組み立てていきました。
Jeff Swampy Marsh
もともとのアイデアは、「今の子どもたちは外で遊ばない」っていう中年の愚痴みたいなところから始まったんです(笑)。
最近の子は室内で動画見たり、テレビゲームをしたり、僕らが子どもの頃みたいに、ゴーカート作ったり、劇をしたり、外で遊ぶ感覚を取り戻したくて、それが番組の核になったんです。
家族の瞬間と印象的なシーン
Q: ファミリーがテーマの番組として、特に印象に残っている家族の場面はありますか?
Dan Povenmire
やっぱり「Dude, We’re Getting the Band Back Together(バンド再結成)」の回ですね。
初めてフィニアス、ファーブ、キャンディスが同じ目標に向かって協力する回で、最後にキャンディスがフィニアスの肩に手を置くシーンがあるんですが、本当に姉としての愛情があふれていて大好きです。
それと「Summer Belongs to You(夏はキミのもの!)」という歌の回も。
最初に兄弟視点の歌詞を書いたんですが、「キャンディスの視点が必要だ」と思って、急いで彼女のパートを追加しました。
彼女が弟たちを誇りに思っているっていう気持ちが伝わるように。
Caroline Rhea(リンダ・フリン役)
泣いてる?
Jeff Swampy Marsh
泣いてるよ(笑)
Dan Povenmire
自分でも観るたびに涙が出ちゃうくらい。
Jeff Swampy Marsh
あともう一つ、リチャード・オブライエン(お父さん役)がアドリブで入れたセリフがあって、モンスタートラックの回で「こんにちは、ダーリン。ああ、僕も君を愛してるよ」ってさらっと言うんですけど、すごく自然で、家族の温かさが伝わってくるんです。
番組のドタバタの中で、こうしたリアルで優しい瞬間があるからこそ、何度見ても微笑ましくなるんですよね。
クリエイター/製作総指揮が語る、作品の魅力と誕生秘話。
シーズン5の放送がより楽しみに、また過去シリーズも見返したくなるお話でした。
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さらにパワーアップした2人の夏に注目!ディズニー・チャンネル『フィニアスとファーブ』シーズン5
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『フィニアスとファーブ』シーズン5は2025年8月9日(土)よりディズニー・チャンネルで日本初放送です。