ナショナルジオグラフィックは、2024年4月22日(月)よりディズニープラスにてエミー賞®受賞のジェームズ・キャメロン製作総指揮「アースデイ」シリーズの最新作『解明!神秘なるオクトパスの世界』の配信を開始。
その配信に合わせ、ナショジオエクスプローラーであるアレクサンドラ・シュネルさんが登壇するメディアラウンドテーブルが開催され、『解明!神秘なるオクトパスの世界』の見どころや、この番組を通じて伝えたいことなどをお話ししてくださいました。
ナショナルジオグラフィック『解明!神秘なるオクトパスの世界』インタビュー
エグゼクティブ・プロデューサーであり、ナショナルジオグラフィック協会付き探検家でもあるジェームズ・キャメロンが手がけるこの3部構成のドキュメンタリー「アースデイ」シリーズ。
その最新作品『解明!神秘なるオクトパスの世界』がディズニープラスで配信されます。
エミー賞®受賞作品『クジラと海洋生物たちの社会』(ナレーション:シガーニー・ウィーヴァー)、そして直近ではエミー賞®にノミネートされ、クリティクス・チョイス・アワードのドキュメンタリー賞を受賞した『神秘なるゾウの愛と知性の物語』(ナレーション:ナタリー・ポートマン)の成功に次ぐものです。
これまでの作品同様、『解明!神秘なるオクトパスの世界』は、アースデイを記念して4月21日にプレミア放送され、翌日にはHuluとディズニープラスで配信がスタートします。
その配信に合わせ、ナショジオエクスプローラーであるアレクサンドラ・シュネルさんにインタビュー!
『解明!神秘なるオクトパスの世界』の見どころや、この番組を通じて伝えたいことなどをお話ししてくださいました。
アレクサンドラ・シュネル プロフィール
アレクサンドラ・シュネルさんは、多様な聴衆に自然界を大切にするよう促すことに情熱を持ったストーリーテラー兼研究者。
海洋生物学者として訓練を受けましたが、現在は比較認知科学の専門家としても知られています。
シュネルさんの物語と研究は、知的生命体についての新たな理解を促進し、多様な動物の心についての考え方を再構築し、最終的には動物の扱い方に影響を与えています。
今回の『解明!神秘なるオクトパスの世界』では、タコは、道具を使いこなし、体を変形させて他の動物を擬態し、人間を含め、異なる種とコミュニケーションをとることさえできるという、想像以上に神秘に満ちあふれている秘密を解き明かしてくれています。
※比較認知科学:ヒトを含めたさまざまな動物の認知機能を調べることを通して、認知機能の進化を明らかにしようとする学問の一分野
『解明!神秘なるオクトパスの世界』の見どころ
『解明!神秘なるオクトパスの世界』では、タコの秘密を3つのエピソードで紹介しています。
第1話はカモフラージュについて。
タコは自在に形を変え、背景にすぐに馴染むことができます。
最初のエピソードでは、このよく知られているタコの特性について深掘りしていきます。
第2話は、タコの知性、知的な面について。
第3話は、それをさらに掘り下げ、タコの社交性について紹介しています。
タコというのは、孤独に、単独で行動すると思われていますが、驚くべきことに、他の種族・他の動物たちとのやり取りを見ることができます。
皆さんが普段思っているようなタコとは異なる、別の側面を知ることができると思います。
彼らの弱さ、脆さであったり、知性、感情があるところなど、今までとは異なる観点を視聴者の方々に持ってもらえるはずです。
タコはよく“宇宙人のよう”と表現されるだけあって、その生態に関してはあまり馴染みのないものかと思いますが、皆さんにも共感いただける部分があるということを知っていただけると思います。
この調査で最も印象的だったことは
スカーレットと名付けたタコとの交流が最も印象的でした。
スカーレットとは、実際にコンタクトを取って関係を築いていきました。
その中で、30分ぐらい彼女と一緒にいると、彼女の方から私の手に、手や足を差し伸ばしてくれて握手をしてくれたということがありました。
彼女は私を狩りに同行させてもくれました。
その後、私がまた戻っても彼女は私のことを覚えているようで、また一緒に行動させてくれたのです。
これは大したことないように思われるかもしれませんけれども、タコというのは、いわゆる骨格もなければ歯や爪もなく、自分を防御するものが一切ない、とても脆い立場の生物。
そんなタコが、好奇心から自分の防衛心を下げてくれ、大きさも10倍以上違う私をそのように招き入れてくれたということはとても印象的でした。
タコのような知的生物について知ることで、海洋生態系についてどんなことがわかりますか?
タコのような知的生物について知ることと、海洋生態系全体への理解とは、繋がりはあると思います。
このシリーズではタコの生活というものをハイライトで見せていきますが、彼らが本当に並外れた生物、動物であるということを理解していただけると思います。
実はタコは300以上の種類があって、私達の暮らす海全てに必ず生息している生き物です。
生態系という点で見ると、タコは捕食関係において、ちょうど真ん中に位置しており、そこが何かで狂ってしまうとドミノ効果で、いろんなところに影響を及ぼしかねません。
いま、私達の海は、癒しを必要としています。
地球温暖化であったり、生物学の多様性の部分であったり、またその福祉に関してなど、いろいろなところに課題が生じています。
それらに我々が共感していけるかというところが大切で、海をただの大量の水と考えてしまうと、なかなか感情移入や共感は難しいものです。
タコのエピソードを通じて海に暮らす動物たちや、その環境、海洋生態系について少し注意を持ってもらえるのではないかと思っています。
次のプロジェクトで取り組みたい、あるいは現在取り組んでいる新たな課題はありますか?
今回のプロジェクトからも繋がっていることなのですが、現在、「One World, Many Minds」というプロジェクトに取り組んでいます。
タコやイカをはじめとする頭足類が“ポジティブな感情を持っているか”という研究です。
日頃の観察から、彼らが冒険心があったり何かゲームを遊ぶような様子が見られていますので、そういったものが、結果としてポジティブな感情となるのではないかということを探っています。
過去に我々の研究結果として頭足類と甲殻類がネガティブな感情を持っているということを出した例があり、それによって頭足類と甲殻類は知覚を持っているとみなされ、現在、英国の法律の下では倫理的かつ思いやりを持って扱われなければならないということになっています。
これまでネガティブな感情というところは見てきましたが、その一方でポジティブな感情に関してはまだ未知の分野なのです。
ナショナルジオグラフィックの探検家として、この番組を通じて視聴者に伝えたいことはありますか?
今の時代、私たち人間は日々忙しく生活しています。
自然とのふれあいをつい忘れがちにしてしまいますが、ぜひ自然との接点を持っていただきたいと思います。
外に出て行って散歩をする、泳ぐ、自転車に乗るなど、日常の延長としてどこかで自然との繋がりを持つことで、自然への理解に繋がっていくのではないでしょうか。
自然を理解しようと努力をすると、それが結果的に自然を保護するということに繋がります。
『解明!神秘なるオクトパスの世界』概要
2024年4月22日(月)よりディズニープラスで配信開始
同日ナショナルジオグラフィックチャンネルにて20:00~23:00※3話連続放送
番組内容
海には「人間」と同じような特徴を持った動物が生息している。
知性があり、社交的で、好奇心旺盛で、穏やかで、獰猛。都市を築き、道具を使い、ほかの種と協力して狩りをする。
個性があり、大胆なものもいれば、内気なものもいる。瞬く間に皮膚の色や質感、体形を変え、人間の目に見えない波長も見ることができる。
彼らの正体は「タコ」だ。
最新の研究により、タコの秘密を解き明かす。
英語ナレーション:ポール・ラッド『アントマン』スコット・ラング/アントマン役etc
60分×3話