記事ポイント
- 成人の中高強度身体活動は中央値1日56.2分
- 成人の推奨量達成率は45.1%
- 成人の運動・スポーツ実施者の43.3%が未達成
明治安田厚生事業団と笹川スポーツ財団が、共同研究「活動量計による身体活動・スポーツの実態把握調査2025」を実施しました。
全国47都道府県の2,459名の活動量計データから、身体活動量の全国代表値を国内で初めて示しています。
成人の中高強度身体活動時間は中央値で1日56.2分で、厚生労働省の推奨する60分に届いていません。
明治安田厚生事業団と笹川スポーツ財団の共同研究「活動量計による身体活動・スポーツの実態把握調査2025」

- 調査対象:層化二段無作為抽出法で全国47都道府県から年度ごとに抽出した200地点の満20歳以上80歳未満の男女(2024年度5,400名、2025年度6,000名)
- 調査方法:郵送法。土・日曜日を含む7日間の活動量計の装着を依頼し、運動・スポーツ実施状況や生活習慣などは質問票で回答
- 調査時期:2024年11月および2025年11月
- 解析対象者:2,459名(2024年度1,105名、2025年度1,354名)
- 集計方法:国勢調査の人口構成に基づく性別・年代・都市区分による重みづけ
- 測定機器:三軸加速度センサー搭載の活動量計(腰に装着、10秒ごとに記録)
共同研究「活動量計による身体活動・スポーツの実態把握調査2025」は、身体活動の時間や強度、座っている時間を測れる活動量計で、日本人の動きと座りの実態をとらえた調査です。
これまで全国規模で客観的に把握されてきた身体活動の指標は歩数が中心で、どれくらい体を動かしているかは十分に明らかになっていませんでした。
2024年度と2025年度に全国47都道府県で調査し、2,459名のデータから身体活動量の全国代表値を国内で初めて示しています。
身体活動とは、安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全ての活動で、仕事、家事、移動、運動・スポーツを含みます。
通常歩行や庭仕事、水泳などは中高強度身体活動、それより強度の低いストレッチや皿洗いなどは低強度身体活動に分類されます。
厚生労働省は成人(20~64歳)に1日60分以上の中高強度身体活動を推奨していますが、成人の中央値は1日56.2分でした。
中高強度身体活動時間は男性56.6分、女性55.7分で、男女にほとんど差はありません。
一方、低強度身体活動時間は男性297.4分(5.0時間)、女性376.4分(6.3時間)と、女性が約80分長い結果です。
研究担当者の川上諒子氏(明治安田厚生事業団 体力医学研究所)は、女性では歩数に表れにくい低強度の身体活動を長時間行っている傾向がみられ、歩数だけでは把握できない実態を捉えられたとしています。

65歳以上の高齢者でも、低強度身体活動時間は男性294.2分、女性381.5分と女性が約90分長く、中高強度身体活動時間は男女とも約43分でした。
年代別では、低強度身体活動時間はすべての年代で女性が男性より長くなっています。
中高強度身体活動時間は男女とも20~60歳代で50分台でしたが、70歳代では40分未満に短くなります。

座位行動時間は男女とも20歳代が最も長く、約560分(9.3時間)で、すべての年代で男性が女性を上回りました。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、中高強度身体活動を成人で1日60分以上、高齢者で1日40分以上行うよう推奨しています。
この推奨量を満たす人の割合は全体で47.7%、成人45.1%、高齢者55.0%で、高齢者が成人より9.9ポイント高い結果です。
男女別では成人男性46.0%、成人女性44.1%、高齢者男性53.3%、高齢者女性56.6%で、男女差はいずれも小さくなっています。
活動量計の装着中に運動・スポーツを実施したかどうかでみると、推奨量の達成率は全体で実施者58.6%、非実施者40.2%と、実施者が18.4ポイント高くなりました。
成人でも達成率は実施者56.7%、非実施者38.4%と実施者が高い一方、成人の運動・スポーツ実施者の43.3%は推奨量を満たしていません。
運動・スポーツをしていない人でも約4割が推奨量を満たしており、日常生活での身体活動も大切な要素だと示されました。
居住環境では、自動車なしで生活することが難しい地域の達成率が全体で44.3%と、難しくない地域の52.4%より8.1ポイント低くなっています。
成人に限ると、自動車なしで生活することが難しい地域の達成率は41.6%にとどまりました。
笹川スポーツ財団の松下由季氏は、スポーツ政策の評価指標の中心である「スポーツ実施率」では捉えきれない課題がみえてきたと述べています。
今後は実施率だけでなく身体活動量にも着目し、日常生活の中で体を動かし、座りすぎを減らせる機会や環境を整えることが重要だという考えです。
結果は、極端に大きな値や小さな値(外れ値)の影響を受けにくい中央値で示されています。
運動・スポーツの時間だけでなく、仕事や家事、移動を含む日々の動きと、座っている時間まで測った今回の調査です。
歩数では見えにくかった低強度の活動や、装着期間中に運動・スポーツを実施した人でも推奨量に届かない人がいる実態は、これからの健康づくりを考える手がかりになります。








