記事ポイント
- 日本性機能学会の比較調査で、日本人既婚男性の性機能が1991年から2023年にかけて大きく低下したことが示されます。
- 性交渉回数の減少、勃起硬度の低下、朝立ちの自覚低下が全年代で確認され、とくに30代後半から50代で顕著です。
- 研究成果は国際学術誌『International Journal of Urology』に掲載され、生活習慣や社会環境の変化との関連にも注目が集まっています。
日本性機能学会は、日本人男性の性機能がこの30年間で大きく変化したとする研究成果を発表します。
1991年に札幌で実施された調査と、2023年に行われた全国調査を比較した国内初の分析で、性生活や勃起機能の低下が全世代で確認されたとしています。
日本性機能学会「日本人男性の性機能変遷」

- 発表者:一般社団法人 日本性機能学会
- 発表日時:2026年4月21日16時00分
- 比較対象:1991年の札幌調査と2023年の全国調査
- 解析対象:条件をそろえた既婚男性
- 掲載誌:International Journal of Urology
- 論文情報:Int J Urol 2026 33:e70344、doi:10.1111/iju.70344
今回の研究は、日本性機能学会臨床研究促進委員会、札幌医科大学医学部泌尿器科学講座、三樹会泌尿器科病院の研究チームが実施したものです。
25年ぶりに行われた国内の性機能調査結果をもとに、約30年間の変化を比較します。
性交渉回数の減少
月1回未満の性交渉、いわゆるセックスレスの割合は、20代を除くすべての年齢層で有意に増加します。
なかでも30代後半から50代で変化が大きく、働き盛り世代の性生活に強い影響が出ているとしています。
学会は、羞恥心や相談しづらさから医療機関の受診につながりにくい点も課題に挙げています。
性生活の満足度や夫婦関係への影響に加え、少子化とも関わる可能性があるテーマです。
勃起硬度の低下

挿入に十分な硬度を得られない男性の割合は、ほぼ全世代で有意に増加します。
研究チームは、これを単なる加齢だけでは説明しきれない世代的変化とみています。
背景要因としては、肥満傾向の進行による血管機能や神経機能への影響、テストステロン低下の可能性が挙げられています。
器質的な要因が性生活の変化と並行して進んでいる点に注目です。
朝立ちの自覚低下

「朝立ちを全く自覚しない」と答えた割合は、全年齢層で有意に増加します。
夜間勃起は生理的な勃起機能の指標とされており、その減少は潜在的な性機能の変化を反映している可能性があります。
研究では、この30年間で睡眠時間の短縮や睡眠障害の増加も報告されていることから、睡眠習慣の変化との関連も示唆されています。
現代的な生活環境が体の状態に影響している可能性を示す結果です。
若年層と中高年層の課題
今回の研究では、20代から30代でも勃起機能や性交頻度の低下傾向が見られます。
従来は加齢性と考えられがちだった変化が若年層にも及んでいる点は、大きな特徴です。
一方で中高年層では、女性側の更年期変化やGSM、男女間の性意識の違いが性交頻度の低下に関わる可能性も指摘されます。
今後は個人だけでなく、カップル単位での包括的な医療アプローチが重要になりそうです。
本研究は、性交頻度の低下と勃起機能の低下が30年間で並行して進行していることを、比較データで示した国内初の報告です。
肥満、睡眠、ストレス、身体活動量、デジタル環境の変化など、複数の要因が複雑に絡み合っている可能性があります。
少子化や健康課題を考えるうえでも見逃せない内容です。
研究チームは、症状への対処だけでなく、生活習慣やパートナー要因も含めた包括的診療の必要性を示しています。
日本人男性の性機能変遷に関する研究成果の紹介でした。
よくある質問
Q. 今回の研究はどのような調査を比較したものですか?
A. 1991年に札幌医科大学が札幌で実施した大規模調査と、2023年に日本性機能学会臨床研究促進委員会が行った全国調査を比較した研究です。
条件をそろえるため、解析対象は既婚男性に限定されています。
Q. 30年間でとくに大きく変化した項目は何ですか?
A. 性交渉回数の減少、挿入に十分な勃起硬度を得られない割合の増加、朝立ちを自覚しない割合の増加の3点です。
とくに30代後半から50代では、性交頻度の低下が目立つ結果となります。
Q. 研究では原因としてどのような要素が考えられていますか?
A. 肥満傾向の進行、睡眠時間の短縮や睡眠障害、身体活動量の低下、ストレス増加、デジタル環境の変化などが背景要因として挙げられています。
器質的要因と生活環境要因の両面から考える必要があるとされています。