グッドネーバーズ・ジャパンは、2026年2月20日の「世界社会正義の日」に寄せて、日本国内の子どもの貧困問題、特に「見えない貧困」の実態を発信しました。
同団体は、低所得のひとり親家庭へ食品配付を行うフードバンク「グッドごはん」を運営しており、支援現場で直面している深刻な状況を伝えています。
グッドネーバーズ・ジャパン フードバンク「グッドごはん」

対象:ひとり親家庭等医療費受給者証をもつ、所得が限度額未満のひとり親家庭
配付内容:お米や調味料、レトルト食品、お菓子など約10,000円相当の食品
配付拠点:首都圏、近畿、九州における約30~40か所(2026年1月現在)
配付世帯数:ひと月あたり5,000世帯を超える規模
日本では、およそ9人に1人の子どもが相対的貧困状態にあると言われています。
しかし、その実態は外から見えにくく、気づかれにくいという特徴があります。
服を着て学校に通い、スーパーで買い物をする一見「普通の家庭」に見えても、空腹を満たせないほど困窮している家庭が存在しているのです。
貧困がもたらす社会的影響

子どもの貧困を放置することは、社会全体にとっても大きなリスクとなります。
成長期に必要な栄養が十分に得られず健康に影響を及ぼすほか、学習機会が制限され将来の選択肢の幅が狭まります。
さらに、不安定な雇用や低所得に陥りやすくなり、貧困が次世代に連鎖する可能性が高まります。
また、貧困状態に陥る背景には多様な要因が存在します。
フルタイムで働いていても収入が低く生活が成り立たないケースや、ひとり親家庭では子育てと仕事の両立の難しさから安定した収入を得ることが困難な状況もみられます。
こうした問題は、本人の努力や選択だけで解決できるものではなく、社会の仕組みや働き方の構造が大きく影響しています。
当事者が語る困窮の実態
「グッドごはん」の利用を希望する家庭からは、困難な暮らしの実態を示す声が絶えず寄せられています。
「子どもが3人いますが、発達障害児もいるため通院などがあるので正社員での勤務が難しく、現在パート勤務です。パート勤務だと経済的に厳しいが勤務時間は増やせない。そのジレンマは常に抱えています。中学生もいるためもう少し栄養のあるものも食べさせたいですが、物価高で節約をしないといけない状況なのも不安です」
「現在、鬱病の影響で働きたくても働くことができず、6歳と8歳の子どもを私1人で育てています。夏はガス代を節約するため水シャワーで過ごしましたが、冬は寒さが厳しく、子どもたちに『お風呂に入りたい』と言われても応えてあげられない日もあります。一緒に買い物に行っても、子どもが果物やパンを欲しがっても買ってあげられず、胸が締めつけられる思いです。体力的にも精神的にも限界を感じ、毎朝目が覚めるたびに『今日をどう乗り越えよう』と不安でいっぱいになります」
さらに、昨今の物価高は生活の苦しさを一層深刻なものにしています。
「とにかく、お腹いっぱい好きな時に食べさせてあげたい。養育費がもらえなくなり、自身の収入だけでは生活がきつい。とにかく物価が高くて、何を買うにも手が出ない時が多々あり、このままどうなっちゃうのかな?って思う」
「物価は上がる一方なのに給料は上がらずきついばかりで、このままこどもを育てていけるのか不安です」
周囲の理解不足と孤立

「グッドごはん」を利用する家庭に行った調査では、周囲からの不理解や偏見に苦しむ当事者の実態も明らかになりました。
「勤めている会社の業績が悪くなり従業員をカットしなければならなくなったときに、自分が雇止めにあった。その理由が、『ひとり親であり、こどもがまだ小さいため、他の従業員より責任を負わせられないから』という事だった。私はこの職場に8年間勤めて、残った従業員たちに仕事を教えていた立場だったが、ひとり親だから責任感がないというのが理由で雇止めにされたことに納得がいかなかった」
「部屋を借りる際、不動産屋で門前払いされた。母子家庭と言う理由で賃貸住宅を追い出された(家賃を上げるなど脅迫じみたことをされた。それに加え、反社は出ていけと突然言いがかりをつけられた。不当な請求をかけられるなど、弱者だと思ったのかかなりの嫌がらせをされた)。どのような場面でも『母子』と言うだけでなめられ、強気で対応してくる人が多い。数え切れないほどの屈辱がある」
こうした周囲の理解不足は、当事者が支援を受けることにためらいを感じる一因となっています。
「生活や子育てでの困りごとについて誰かに相談したり助けを求めたりすることに、ためらいや抵抗を感じるか」という質問に対し、「かなり感じる」「やや感じる」を合わせた割合が5割にのぼりました。
増加し続ける支援ニーズ

グッドネーバーズ・ジャパンは、フードバンク「グッドごはん」を2017年より運営しています。
日本におけるひとり親家庭の貧困率は44.5パーセントと、半数近くが相対的貧困の状態にあり、十分な食事をとれないほど困窮している家庭が少なくありません。
孤独を抱えやすいひとり親家庭を支えるべく、対面で食品配付を行っており、子どもたちの「生きる土台」である食を支える取り組みを続けています。

事業開始以降、「グッドごはん」における食品配付世帯数は年々増加を続けています。
この現状は、誰かの支えを必要としている家庭が絶えないという現実を示しています。
2026年1月現在、延べ17万を超える世帯に食品をお渡ししてきました。
2月20日の「世界社会正義の日」は、すべての人が公正に生きられる社会を目指し、貧困・差別・排除などの課題に向き合うことを呼びかける国際デーです。
お腹を満たすことすら難しいほど貧困に苦しむ子どもたちが、同じ日本で今日も暮らしています。
その状況は外から見えにくく、気づきにくいものです。
だからこそ、この「見えない」現実について、多くの人が知り、理解を深めることが重要です。
グッドネーバーズ・ジャパンは、一人でも多くの子どもが「お腹いっぱいごはんを食べる」という当たり前を失わず、貧困に苦しむことのないよう、「グッドごはん」をはじめとした活動を継続していくとしています。
グッドネーバーズ・ジャパン フードバンク「グッドごはん」の紹介でした。
よくある質問
Q. 「グッドごはん」の利用対象者は誰ですか?
ひとり親家庭等医療費受給者証をもつ、所得が限度額未満のひとり親家庭が対象です。生活保護受給中の方は対象外となります。
Q. どのような食品が配付されますか?
お米や調味料、レトルト食品、お菓子など、約10,000円相当のカゴいっぱいの食品が配付されます。
Q. 配付拠点はどこにありますか?
首都圏、近畿、九州における約30~40か所の配付拠点があります(2026年1月現在)。通常、配付拠点に直接取りに来られる方を対象に食品を配付しています。
Q. 「グッドごはん」への寄付方法を教えてください。
月々のご寄付、単発のご寄付、食品の現物寄付を受け付けています。詳細はグッドネーバーズ・ジャパンの公式ウェブサイトをご確認ください。
Q. 日本の子どもの貧困率はどのくらいですか?
日本では、およそ9人に1人の子どもが相対的貧困状態にあります。ひとり親家庭の貧困率は44.5パーセントと、半数近くが相対的貧困の状態にあります(厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査」)。