記事ポイント
- 5人の本編インタビュー映像5本を一挙公開
- 全15章構成でキュレーターの証言も収録
- 渋谷シアター・イメージフォーラムで11月7日公開
映画『日本前衛派の開拓者』から、横尾忠則、森山大道、田名網敬一、寺山修司、荒木経惟の本編インタビュー映像5本が一挙公開されました。
戦争ですべてが失われた焼野原から強烈なエネルギーで芸術革命を起こした5人が、その原点を語ります。
映画『日本前衛派の開拓者』

- 作品名:『日本前衛派の開拓者』(原題:JAPANESE AVANT-GARDE PIONEERS)
- 公開日:2026年11月7日(土)
- 劇場:渋谷 シアター・イメージフォーラム他、全国順次公開
- 監督:アメリー・ラヴァレック
- 出演:横尾忠則、田名網敬一、細江英公、森山大道、荒木経惟、川田喜久治、石内都、寺山修司、土方巽、大野一雄、他
- 作品情報:2025年/イギリス・フランス/105分/16:9/2.0ch
- 字幕:林かんな
- 配給:オンリー・ハーツ(オンリー・ハーツ創立35周年記念ドキュメンタリー映画 ⑥)
- 初日舞台挨拶:2026年11月7日(土) 14:25上映回終了後/20:00上映回終了後、渋谷 シアター・イメージフォーラム(〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-10-2)、登壇者:アメリー・ラヴァレック監督
- 公式サイト:http://zenei.onlyhearts.co.jp
ドキュメンタリー映画『日本前衛派の開拓者』は、1960年代の日本で起きた芸術革命の正体に迫る作品です。
今回は横尾忠則、森山大道、田名網敬一、寺山修司、荒木経惟の5人による本編インタビュー映像が、5本まとめて公開されました。
約60年前、戦後日本の青春期ともいえる1960年代に、世界芸術史においても特異で重要な芸術革命が日本でわき起こりました。
それまでの制度的物語を覆したそれは何だったのかという問いに、当事者たちの肉声で迫ります。
監督はロンドンを拠点とするフランス人のアメリー・ラヴァレックで、6年をかけて日本の1960年代芸術革命を切り取りました。

1960年代に活躍を始めた日本前衛派の芸術家たちは、アウトサイダーであり、既成の価値観に従わない人たちでした。
誰かに許可をもらうのを待つことを拒み、ジャンルの境界を越え、ルールを破り、自分たち自身の世界を創りだしたとてつもないエネルギーと創造の自由を持っていました。
その表現は何十年も経った今でも、野性的で、奇妙で、挑発的で、そして完全に生きています。

本編は「第二次世界大戦」「戦後日本」「写真」「川田喜久治」「三島由紀夫」「PROVOKE」「森山大道」「荒木経惟」「緊縛」「暗黒舞踏」「パフォーマンスアート」「寺山修司」「アングラ」「横尾忠則」「田名網敬一」の15章に分かれています。
章ごとにジャンル、人、団体の独自性と共通点がより鮮明に浮かび上がる構成です。

ニューヨーク・グッケンハイム美術館やロンドン・テート・モダンのキュレーターをはじめ、当事者を知る専門家たちの証言も取り込まれています。
監督が背景の音楽にもこだわったことで、大きな視点とともに、具体的で感覚的にも引き込まれる映像体験になっています。

1960年代の日本は、急激な社会変化、政治的不安、そして学生運動の時代で、戦後の激動が前衛芸術の爆発的な発展を促しました。

実験的かつエロティックな写真、アングラ演劇や路上パフォーマンス、終末的な舞踏、シュルレアリスティックなイラストレーション、革新的なグラフィックデザインなど、多様な分野が切り拓かれました。

写真では、森山大道や雑誌『Provoke』の写真家たちが確立した「アレ・ブレ・ボケ」という新たな美学が生まれ、荒木経惟は緊縛を美へと昇華させました。
細江英公は男性の肉体を神秘的に描き、石内都はアメリカ軍基地と共にあった自身の体験を写し、川田喜久治は写真集『地図』で広島の痛切な記憶を捉えました。

アンダーグラウンド演劇の巨匠・寺山修司は、魔術的でシュール、鮮烈な色彩に満ちた映画、演劇、写真集を数多く生み出しました。

横尾忠則と粟津潔は燃え上がるような演劇ポスターで日本のグラフィックデザインを変え、「日本のアンディ・ウォーホル」とも称される田名網敬一は万華鏡のようなポップアートの世界を展開しました。

舞踏の創始者である土方巽と大野一雄は、「闇と光の舞踏」で現代舞踊の歴史を変えました。

ラヴァレック監督は「第二次世界大戦」「写真」「三島由紀夫」「PROVOKE」「森山大道」「荒木経惟」「緊縛」「暗黒舞踏」「パフォーマンスアート」「寺山修司」「アングラ」「横尾忠則」「田名網敬一」という13の柱を立て、アーティスト自身や世界的なキュレーターへのインタビューと膨大なフッテージで探っていきます。
出演者には細江英公、川田喜久治、石内都、土方巽、大野一雄も名を連ね、羽永光利、渡辺眸、田辺三太郎、演劇実験室◎天井桟敷、ハイレッド・センター、ゼロ次元、ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ、キュレーターのアレクサンドラ・マンローとレナ・フリッチュ、アナリストのピーター・タスカらも作品に登場します。

監督のアメリー・ラヴァレックは、パリ生まれ、ロンドン拠点の映画監督、プロデューサー、写真家、エディター、カラーリストです。
作品は世界50か国の映画館や映画祭、美術館などで1,200回以上上映され、2025年にはBottega Venetaの「Inclusion & Diversity Via Arts Initiative」の年間フィーチャード・アーティストに選ばれました。
2025年には著書『Japan Art Revolution: The Japanese Avant-Garde, from Angura to Provoke』をThames & Hudsonから刊行し、同書はAIGAの「50 Books | 50 Covers 2025」を受賞しています。
現在は日本の現代美術を探る新作ドキュメンタリー『Japan Visions』を制作中で、これまでに35名以上のアーティストにインタビューしています。
監督は、寺山修司の写真集『Photothèque imaginaire de la famille Chien-Dieu』に圧倒されたことをきっかけに日本のアヴァンギャルドの世界へ入り、2019年に制作を始めました。
新型コロナで日本が国境を閉ざすなか、実現まで4年かかったインタビューもあり、何百点もの作品やアーカイブ資料が集められました。
プロジェクトの途中で細江英公、田名網敬一、金子隆一が亡くなり、その声や記憶、考えを記録できたことに監督は感謝を語っています。
完成後の作品はロンドン、ニューヨーク、パリ、ミラノ、アムステルダム、モントリオールなど世界各地で上映されてきました。
監督は日本の観客に、映画館を出るとき何かを創りたくなる衝動を受け取ってほしいと願っています。
横尾忠則編
横尾忠則編では、作家・三島由紀夫との出会いが語られます。
「東京へ出てきた時に、細江さんが三島さんの『薔薇刑』を作るというニュースを聞いて、僕はそこに飛び込んだわけです。」
「それが僕と三島さんとの出会いのきっかけになったわけですよね。」
「その後三島さんのエッセイとか、本の装丁とか、演劇ポスターを頼まれるようになった。」
横尾忠則は兵庫県西脇市生まれの美術家で、1960年代から日本を代表するグラフィックデザイナーとして国内外で評価され、1980年代以降は画家としても活動しています。
森山大道編
森山大道編では、被写体を選ばない創作の秘密が明かされます。
「僕の場合はある意味テレビの画面も町に貼ってあるポスターとか、あらゆる物は僕にとって同じなんだよね。」
「特にテレビのブラウン管を撮る事にそんなに意味があるわけではなく、僕にとっては視点のひとつですから、街をスナップする、車を撮る、人を撮る、テレビを撮る、ポスターを撮る、映画のスクリーンを撮る、全部一緒と思ってるんで。」
森山大道は大阪府池田市生まれの写真家で、「アレ・ブレ・ボケ」と呼ばれる表現で写真の常識を揺さぶり、2019年にハッセルブラッド国際写真賞を受賞しています。
田名網敬一編
田名網敬一編では、絵を描くうえで向き合う死について語られます。
「若い時は死なんていうものをそれほど考えないけれども、年齢を経ていくごとに、死は身近な存在としてあるじゃないですか。」
「考えないように思っても、やっぱり絵を描く時に、死の問題というのはどうしてもキャンバスの中に出て来てしまうんですよね。」
「だから逆に僕はそれが人間の真の姿なんで、それはそれでおもしろいなと僕は思うんですよね。」
田名網敬一は東京生まれの美術家で、アニメーションやコラージュ、絵画など多彩な表現を展開し、1975年には日本版『PLAYBOY』の初代アートディレクターを務めました。
寺山修司編
寺山修司編では、舞台『疫病流行期』の客席の仕掛けが語られます。
「『疫病流行期』っていうのは、客席の中にカーテンをたくさん設けて、見えたり見えなくなったりするという。」
「観客が丁度魔法陣のようにいくつかに区切られた空間の中で、Aの座席にいる人と、Aの部屋にいる人とは、見るものが全く違ってみえる。」
「それぞれが自分たちの見えなかった部分を含めて空想で組み立てて成り立っていく。」
寺山修司は青森県弘前市生まれの詩人、歌人、劇作家、映画監督で、1967年に演劇実験室「天井棧敷」を設立しました。
荒木経惟編
荒木経惟編では、生と死を主題にした撮影の姿勢が語られます。
「今、生と死の関係でずっと撮ってるけど。わざとね、あの世に行って撮ってると設定して、自分で。結局遊んでいるんだろうけど。」
「死に関するものが自分の記憶として写真には残っている。それと一番孤独感がつい出ちゃってるのが惹かれて、記憶に残ってる。」
荒木経惟は東京都台東区生まれの写真家で、1971年に写真集『センチメンタルな旅』を発表し、500冊を超える写真集を刊行しています。
『日本前衛派の開拓者』は、5人の肉声と15章の構成で、日本の1960年代芸術革命の原点を立体的にたどれるドキュメンタリーです。
©Circle Time Studio, 2025








