記事ポイント
- 新ペア「シャーク×えくぼ」の有精卵が嘴打ち直前に卵内死亡
- 有精卵は今季計2卵で、2卵とも孵化せず今期の繁殖は終了
- 卵殻異常卵をラップフィルムで管理し、孵化直前まで発生
和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドが、2026年10月14日にコウテイペンギンの卵の経過を発表しました。
新ペア「シャーク×えくぼ(E027×E032)」の卵は、人工的に卵殻を割って確認した結果、卵内でヒナの死亡が確認され「末期中止卵」となりました。
今シーズンの有精卵は2卵とも孵化に至らず、今期のコウテイペンギンの繁殖は終了です。
アドベンチャーワールド コウテイペンギンの卵の経過

- 発表日:2026年10月14日
- 今季の有精卵:計2卵(今回の1卵、発生初期に停止した1卵)
- 今回の結果:末期中止卵(孵化直前まで発生が進んだものの、卵内で死亡した状態)
アドベンチャーワールドでは、コウテイペンギンの卵の発生を慎重に見守ってきました。

自力での嘴打ち(はしうち:ヒナが自ら殻を割り始める現象)に至らなかったため、人工的に卵殻を割って確認しました。
その結果、卵内でヒナの死亡が確認され、「末期中止卵」となりました。
今シーズンの有精卵は計2卵で、今回の1卵と発生初期に停止した1卵でした。
2卵とも孵化に至らず、今期のコウテイペンギンの繁殖は終了となります。

今回は、過去16例の繁殖実績があるペア「パパ×ママ(E005×E014)」とは異なる、新しいペア「シャーク×えくぼ(E027×E032)」による挑戦でした。
孵化直前の段階まで発生を進められたことを、同パークは繁殖研究における大きな進歩としています。
今回得られた3つの技術的進歩

同パークは、今回の取り組みで3つの技術的進歩が得られたとしています。
1つ目は、実績ペアとは異なる新ペア「シャーク×えくぼ」で有精卵を確認し、孵化直前の段階まで進められたことです。
2つ目は、卵殻異常への対応です。
表面のざらつきなどで内部環境の維持が難しい卵殻異常卵は、水分蒸散や湿度の管理が著しく難しく、過去に孵化した例はありませんでした。
今回は食品用ラップフィルムを巻き、孵卵器内の環境を緻密に管理・維持することで、嘴打ち直前まで順調に発生を進められました。
3つ目は人工授精です。
今シーズン取り組んだ人工授精によって受精・発生に至った可能性も残されており、今後、死亡したヒナのDNA鑑定で確認を進めます。
アドベンチャーワールドのコウテイペンギン繁殖の歩み

同パークは1997年にコウテイペンギンの繁殖研究を開始しました。
2004年には日本で初めて赤ちゃんが誕生し、世界でも2園館目の出来事でした。
2004年〜2011年は完全人工育雛で計6羽が誕生・成長し、2013年には初期人工育雛から親鳥による育雛への移行に成功しています。
2025年9月30日には「よよちゃん」(E044)が誕生し、同パーク16羽目のコウテイペンギンとなりました。
同年には、世界初となるコウテイペンギンの人工授精での有精卵確認にも成功しました。
2026年には、コウテイペンギンとともに地球の未来を考える「38℃ MIRACLE Project」を始動しています。
コウテイペンギンについて
- 学名:Aptenodytes forsteri
- 生息地:南極大陸およびその周辺
- 寿命:約30年
- 大きさ:体長約120cm、体重約40kg
コウテイペンギンは世界最大のペンギンで、側頭部と胸部上部の鮮やかな黄色が特徴です。
マイナス60度にもなる冬の氷原で繁殖を始め、約120日間にも及ぶ絶食の中でヒナを育てることから、世界で最も過酷な子育てをする鳥と呼ばれています。
メスは産卵後に餌を取りに海へ向かい、繁殖地に残ったオスは絶食状態で約2か月間卵を抱き続けます。
赤ちゃんは唯一模様があるペンギンで、生まれた直後から換羽までは白・黒・グレーの三色です。
よくある質問
Q. 「末期中止卵」とは何ですか?
A. 孵化直前の段階まで発生が進んだものの、何らかの要因で卵内で死亡してしまった状態を指します。
Q. 「38℃ MIRACLE Project」とはどのような取り組みですか?
A. コウテイペンギンとともに地球の未来を考えるプロジェクトです。
極寒の中でペンギンたちが組む「ハドル」の中心温度が体温と同じ38℃に達することにちなみ、世界中の人々とハドルを組むように、ペンギンの住む海と未来を守る輪を広げることを目指しています。
今回の新ペアによる挑戦は孵化に至りませんでしたが、卵殻異常卵を嘴打ち直前まで進められたことは、同パークの繁殖研究における成果です。
人工授精の成否は、今後行う死亡したヒナのDNA鑑定で確認が進められます。








