記事ポイント
- 天然深共晶溶媒NADESを配合した美容液
- 保湿効果の向上とべたつきのない使用感
- 今後は植物・バイオマス由来の有効成分を含む美容液も開発予定
GSアライアンスが、天然深共晶溶媒(NADES:Natural Deep Eutectic Solvents)を用いた美容液を開発しました。
グリーンケミストリーにも使われる溶媒を取り入れ、保湿効果の向上と、べたつきのない良好な使用感を目指した一品です。
GSアライアンス NADES(天然深共晶溶媒)を用いた美容液

- 販売開始日:2026年11月2日(予定)
- 販売場所:GSアライアンスのインターネット販売サイトなど(https://www.nano-sakura-shop.com/)
- 主な特長:NADES配合、保湿効果の向上、べたつきのない使用感
- 開発元:GSアライアンス(冨士色素グループ)
冨士色素グループのGSアライアンスは、以前からNADESを研究開発しており、ある種のNADESの製品を美容液に応用しました。
同社のNADESを含有させることで、主に保湿効果の向上と、べたつきのない良好な使用感を持たせた美容液です。
今後は、植物、バイオマス由来の有効成分を含有させた美容液なども開発していく予定です。
近年の化粧品業界では、グリーンケミストリーの理念やクリーンビューティーへの消費者意識の高まりを背景に、大きな変革が起きています。
化粧品分野のグリーンケミストリーとは、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑える方法や原料で、製品の設計と製造を行うことです。
毒性のある石油由来の揮発性有機溶媒の代わりに天然物質を使って使用量を削減するほか、再生可能・生分解性原料の使用、製造工程での廃棄物の最小化、添加剤の使用削減、水とエネルギーの消費量削減も含まれる考え方です。
従来のスキンケア処方では、有効成分の安定性や肌への浸透、使用感を整えるため、合成グリコールや石油由来の浸透剤、強力な化学防腐剤が多用されてきました。
これらの成分はカーボンフットプリント(炭素排出量)の多さや毒性から問題視されており、多機能でバイオ由来の環境に配慮した持続可能な溶媒の開発が、化粧品工学の主要テーマになっています。
溶媒は多様な成分を同時に配合できる処方の基盤で、有効成分が皮膚バリアを通る速度や輸送効率を左右し、真皮など肌の奥へ届ける役割も担います。
一方で石油由来の溶媒には人の健康や地球環境にリスクがあるものも多く、発がん性や変異原性リスクのある物質への法規制強化を受け、代替成分への移行が急務となっています。
そのため、バイオベースの溶媒やNADESが化粧品業界から大きな注目を集めています。
(天然)深共晶溶媒(NADES/DES)は、難溶性成分の溶解や高機能保湿、低刺激な角質ケアなどの用途で、次世代のグリーン溶媒として注目されています。
水素結合ドナー性の化合物と水素結合アクセプター性の化合物から合成される、室温で液体になる化合物です。
特徴の1つ目は、バイオ活性が高く肌に有益でも水や油に溶けにくい難溶性成分を、親水性・疎水性を問わず安定かつ高濃度に溶かせることです。
2つ目は、抗酸化剤、フラボノイド、カロテノイド、ポリフェノールなどの有用成分を、植物や藻類などのバイオマスから、石油由来の毒性ある有機溶媒なしで効率的かつ環境負荷を抑えて抽出できることです。
3つ目は、エタノールやアルコールのように蒸発しない非揮発性のため、クリームやゲル状の化粧品の中で有効成分として残れることです。
4つ目は、有効成分が皮膚バリアを通過する速度や輸送効率を制御し、肌の奥深く(真皮など)まで届けられることです。
5つ目は、天然の保湿剤・保水剤として働き、アスコルビン酸(ビタミンC)のような繊細で肌に有効な活性物質を溶解し、安定化できることです。
6つ目は、高分子に匹敵する長時間の機能維持と、べたつきのない良好な使用感を両立する増粘保湿剤として応用できることです。
深共晶溶媒(DES:Deep Eutectic Solvents)は、イオン液体と類似した性能を持つ新しいタイプの溶媒です。
ルイス酸またはブレンステッド酸と塩基の共晶混合物から形成され、さまざまな陰イオン種・陽イオン種で構成されます。
2つ以上の化合物で合成すると、個々の成分のどれよりも低い融点を持つ共晶が得られます。
合成された深共晶溶媒は蒸気圧が低く難燃性で、熱安定性および電気化学的安定性が高い(電位窓が広い)のが特徴です。
イオン液体より概して値段が安く、無害な場合が多い点も利点です。
天然成分から作られる深共晶溶媒が天然深共晶溶媒(NADES)で、より毒性が低く環境に優しい溶媒です。
原料にはアミノ酸、有機酸、糖類、コリンなどの天然由来成分が用いられる場合が多く、融点が大幅に下がって室温で液体になる、環境調和型のグリーン溶媒です。
NADESの応用例には、電池用電解液、有機合成用溶媒、ガス吸着、セルロースやリグニンなどの溶解、可塑剤、バイオ燃料の精製、レアアースやレアメタルなどの金属抽出があります。
カテキン、カフェイン、フラボノイド、パルマチン、エフェドリンのようなアルカロイドなど各種の植物由来物質の抽出や溶解効果を生かした、今回の化粧品への応用もその一つです。
GSアライアンスのNADES美容液は、グリーンケミストリーの考え方を取り入れ、保湿効果の向上とべたつきのない使用感を目指した美容液です。






